日本消化器外科学会雑誌
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症例報告
回腸原発扁平上皮癌の1例
諏訪 宏和山岸 茂藤井 正一大田 貢由佐藤 知子平澤 欣吾永野 靖彦國崎 主税佐々木 毅遠藤 格
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2010 年 43 巻 8 号 p. 839-843

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抄録

 患者は36歳の男性で,右下腹部痛を主訴に受診した.右下腹部に圧痛を伴う腫瘤を触知し,腹部造影CTでは回盲部付近に最大径70 mmの腫瘤性病変と,肝S4にlow density areaを認めた.小腸内視鏡検査にて回腸末端に潰瘍を有する腫瘍性病変を認め,生検で扁平上皮癌と診断された.食道,肺などに明らかな病変を認めず,小腸原発の扁平上皮癌,S状結腸および右尿管への直接浸潤疑いと診断し,右結腸切除,S状結腸部分切除,右尿管部分切除術を施行した.肝転移に対しては2期的切除を行った.病理組織学的検査では,回腸原発の高分化型扁平上皮癌であった.現在,術後22か月間無再発生存中である.国内外の文献の検索をしたかぎりでは,小腸原発の扁平上皮癌の報告は3例であった.今回,我々は非常にまれな回腸原発と考えられる扁平上皮癌の1例を経験したので報告する.

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