日本消化器外科学会雑誌
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胆嚢管低位合流症例の臨床的検討
上辻 章二山村 学奥田 益司山道 啓吾山田 修箕浦 俊之浜田 吉則山本 政勝
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1990 年 23 巻 9 号 p. 2238-2243

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抄録
過去5年間の当教室における胆石症症例428例中, 胆嚢管が膵上縁より十二指腸壁を貫通するまでの下部胆管と合流する胆嚢管低位合流症例24例を経験した.これらの胆嚢管低位合流症例には種々の病態がみられた.すなわち, Mirizzi syndrome6例, confluence stone2例, 胆嚢癌2例, 先天性胆嚢管拡張症1例であった.胆嚢管低位合流症は解剖学的に, 胆嚢管が長く, 胆汁のうっ滞による胆石形成にMirizzi syndrome, confluence stoneをきたし, また胆嚢癌の発生をきたすものと考えられた.さらに, 胆嚢管合流部と膵管開口部との距離が短かい点より, 胆嚢管内膵液逆流を起こしやすいことが推測され, 膵胆管合流異常症と類似の病態を呈し, 胆嚢管拡張症を合併するものと考えられる.
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