日本消化器外科学会雑誌
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胆管細胞癌と胃癌の同時性重複癌の1切除例
加藤 英雄清水 武昭佐藤 攻内田 克之塚田 一博武藤 輝一
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1993 年 26 巻 7 号 p. 2094-2098

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抄録

進行胃癌と胆管細胞癌の同時性重複癌を1期的に根治切除しえた.症例は73歳の男性.主訴は動悸と息切れ.入院時検査成績では, 腫瘍マーカーが, carcinoembryonic antigen (CEA) 6.7ng/dl, carbohydrate antigen 19-9 (CA19-9) 240U/ml以上と高値を示した.胃内視鏡にて胃体上部にBorrmann2型進行胃癌を認め, CTで肝左葉外側区域に不規則なlow density areaを示す腫瘍を認めた.膵脾合併胃全摘術および肝左葉切除術にて両病変の根治切除を施行した.胃病変は4.0×2.7cm大, 深達度ssの中分化型腺癌で, 肝病変は6.5×3.5×8.0cm大の高分化型乳頭状管状腺癌であった.肝病変は胃病変に比べmucin産生が少なくHE染色, CA19-9染色などより胃癌とは独立したもので胆管細胞癌と考えられた.患者は1年5か月の現在無再発生存中である.胆管細胞癌との重複癌といえども, 根治術が施行されれば予後も期待できるので初回手術時には積極的な外科治療を試みるべきである.

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