日本消化器外科学会雑誌
Online ISSN : 1348-9372
Print ISSN : 0386-9768
ISSN-L : 0386-9768
メッシュを用いた腹壁瘢痕ヘルニアの治療
長江 逸郎土田 明彦田辺 好英高橋 総司湊 進太朗青木 達哉小柳 泰久
著者情報
ジャーナル フリー

2004 年 37 巻 2 号 p. 257-262

詳細
抄録

当科では1996 年以降, 腹壁瘢痕ヘルニア症例に対してメッシュによる腹壁修復術を導入し, 現在ではほぼ全例に対してメッシュを使用している. 1996年以前は, 主に単純閉鎖法を行っていたが, 1996年以降はMarlex meshを導入, 腹膜の修復が困難な症例に対しては癒着防止用のePTFE面を有するComposix meshの使用を開始した. また, ヘルニア門の小さい症例に対しては鼠径ヘルニアに使用されているProlene hernia system (以下, PHS と略記) による修復術を行ってきた. しかし, ヘルニア門が4cm 以上の2 症例にPHSを使用した際, 術後半年にメッシュが塊状となり突出が認められた. ヘルニア門が3cm以下の症例では異常がみられなかったことから, ヘルニア門が3cm 以上の症例にはPHSを使用しないことを基本とした. 現在までのところメッシュ使用症例に関しては感染, 再発はない. 今後, メッシュの使用方法を確立していけば腹壁癜痕ヘルニアに対するMesh repairは基本術式になりうると考える.

著者関連情報

この記事はクリエイティブ・コモンズ [表示 - 非営利 4.0 国際]ライセンスの下に提供されています。
https://creativecommons.org/licenses/by-nc/4.0/deed.ja
前の記事 次の記事
feedback
Top