2004 年 37 巻 2 号 p. 252-256
88歳の女性で, 発熱・嘔吐を主訴に近医を受診し, 胆石症・総胆管結石症の診断で当院内科に入院した. 内科的治療で軽快せず, 平成14年10月21日に手術目的で外科転科となった. 手術所見は, 総胆管を切開し総胆管結石を摘出後, 両側ピッグテール型ERBD チューブを留置し, 1次縫合閉鎖した. 術後経過は, 術後18日目から常食可能となり, ERBDチューブは術後29日目に, 内視鏡下に抜去された. 高齢者に老人性痴呆を伴う場合, TチューブやCチューブが自己抜去されて, 胆汁性腹膜炎が引き起こされる可能性が高い. また総胆管切開1次縫合閉鎖のみでは胆汁瘻などの合併症がTチューブ使用例よりも多いと報告されている. 今回我々が行った両側ピッグテール型ERBDチューブを用いた総胆管切開1次縫合閉鎖術は1次縫合閉鎖術の合併症である胆汁瘻の危険性が減少し, 老人性痴呆がある高齢者に対して非常に有用であると考えられた.