日本消化器外科学会雑誌
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胃前庭部と十二指腸球部が嵌頓し通過障害をきたした食道裂孔ヘルニアの1例
板野 聡寺田 紀彦堀木 貞幸遠藤 彰大多和 泰幸
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2005 年 38 巻 1 号 p. 13-18

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抄録

症例は52歳の女性. 主訴は食後の腹満感, 嘔吐と体重減少. 近医の上部消化管造影X線検査で横隔膜ヘルニアと診断され, 当院を紹介され来院した. 当院の検査では, 食道裂孔ヘルニアで胃前庭部と十二指腸球部がヘルニア内に脱出嵌頓して通過障害を来していることが診断された. 内視鏡的整復が困難と判断され開腹手術を行い, 嵌頓した胃前庭部と十二指腸球部を還納後, ヘルニア門を縫合閉鎖して手術を終了した. 術後の上部消化管造影X線検査では正常な解剖学的位置関係に復しており, 通過も良好であった. 食道裂孔ヘルニアの定義では, 胃の漿膜を含む全層が胸縦隔内へ脱出する状態をいい, 胃以外の腹腔内臓器が脱出することは極めてまれとされている. 文献検索では, 十二指腸球部を内容とした食道裂孔ヘルニアの報告は4例のみで自験例は5 例目であり, 極めてまれであると考えられたので報告した.

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