日本消化器外科学会雑誌
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空腸穿孔を伴ったガストリノーマの1例
高橋 玄津村 秀憲松本 文夫三上 陽史飯田 義人五藤 倫敏徳川 友彦小西 奈々美
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2005 年 38 巻 3 号 p. 336-341

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抄録

空腸潰瘍穿孔のため緊急手術を行ったガストリノーマの1例を経験した. 症例は46歳の男性で, 8年前に十二指腸潰瘍穿孔で手術, 7年前に副甲状腺腺腫で手術, 十二指腸潰瘍に対し内服治療中であったが平成15年6月初旬に消化管穿孔のため緊急手術を施行した. 空腸潰瘍の穿孔であった. 全身状態が落ち着いた後, セクレチンテスト, 腹部血管造影検査, 選択的動脈内刺激剤注入試験 (SASI test), 血清ガストリン値6,514pg/mlなどでガストリノーマと診断した. 平成15年8月中旬に膵頭十二指腸切除術を施行, 術後の病理組織学検査で悪性のガストリノーマの診断を得た. ガストリノーマに起因する原発性空腸潰瘍穿孔は比較的まれであった. 抗潰瘍薬に抵抗性の患者は血中ガストリン値の測定が必要であると再認識した.

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