日本消化器外科学会雑誌
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アミロイド沈着を伴う脾炎症性筋線維芽細胞腫瘍の1例
山中 秀高小野 要佐藤 達郎飯田 有二神谷 諭
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2006 年 39 巻 11 号 p. 1695-1700

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抄録

炎症性筋線維芽細胞腫瘍 (inflammatory myofibroblastic tumor; 以下, IMTと略記) は, 筋線維芽細胞の増生と炎症細胞浸潤からなる腫瘤性病変で, 肺の炎症性偽腫瘍の検討から発見され, 身体のあらゆる部位に発生することが明らかになったが, その本質が炎症性か腫瘍性かで論議されている. 今回, 我々は脾IMTの1例を経験したので報告する. 症例は32歳の女性で, 腹痛で受診した. 血液検査で白血球増加と貧血を認め, 腹部単純X-P, US, CT, MRI, 血管造影検査で脾腫瘍と診断され脾摘出術を施行した. 摘出標本でアミロイド沈着を伴う脾IMTと診断された. 術後, 白血球数, 貧血は改善し, 1年10か月の現在, 再発の徴はない. 自験例は本邦報告2例目の脾原発例で, さらにアミロイド沈着を伴う症例は今までに報告がなく, 極めてまれと思われた. また, ALK-1陰性で, AA-typeのアミロイド沈着であり, 炎症性病変を示唆するものであった.

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