日本消化器外科学会雑誌
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腫瘍進展の局在から見た直腸癌局所再発に対する外科的治療の効果
三澤 一成加藤 知行金光 幸秀小森 康司平井 孝
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2006 年 39 巻 12 号 p. 1787-1796

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抄録

目的: 直腸癌局所再発は, 根治のためには外科的切除しかないが, その侵襲に見合った治療効果の得られない例も少なくない. 術前の進展度別に当院での治療成績を解析し, 外科的治療の意義を検討した. 対象と方法: 1981年から2002年に直腸癌局所再発に対し, 治癒切除目的で手術が行われた84例を, 術前画像診断から腫瘍進展の局在より, A 群: 再発腫瘍が内閉鎖筋, 梨状筋に浸潤または接する, または第2以上の仙骨に接するもの, B群: 第3以下の仙骨や, 子宮, 精., 膀胱などの骨盤内臓器に浸潤または接するもの, C群: 吻合部周囲に限局するものの3群に分類. また, 同時期に直腸癌局所再発病変の進展が高度であることを理由に非切除・手術非適応となった19例を非手術群として, 治療成績を比較検討した. 結果: 治癒切除率は全例61.9%, A群31.8%, B群80.6%, C群81.3%. 再発切除術後5年生存率は, 全例30.0%, A群5.9%, B群32.7%, C群67.0%であった. 術後局所再々発や遠隔転移について, A群で有意に早期に認められた. A 群と非手術群の比較では, 再発後生存期間に有意差を認めなかったが, 局所再発から遠隔転移が起こるまでの期間は中央値でA 群8.4か月, 非手術群18.0か月と有意差を認めた. 結論: A群では治癒切除率が低く, 早期に局所再々発や遠隔転移を来し予後不良であった. 今後, 手術適応や術式, 補助療法などの再検討が必要であろう.

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