糖尿病
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症例報告
原発性甲状腺機能低下症の発症により頻発する低血糖発作をきたした1型糖尿病の1例
浅川 雅博丹羽 有紗秋久 桃子澤田 瑞穂三宅 敦子川村 光信小川 佳宏
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2014 年 57 巻 4 号 p. 242-248

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抄録

症例は46歳男性.2000年に糖尿病を発症,2006年よりインスリン依存状態となりインスリン療法開始し,2013年までHbA1cは6-7 %程度で推移した.2013年1月(46歳時)より3週間程度微熱が続いた後2月より低血糖が頻発し,同時期より全身倦怠感・易疲労感・耐寒能低下・発汗低下・体重増加も出現した.2013年5月に低血糖で救急搬送され入院,原発性甲状腺機能低下症と診断した.入院後甲状腺ホルモン補充を開始,またインスリン枯渇が判明したためインスリンポンプに治療変更し,低血糖の頻度は減少した.1型糖尿病の存在下に,破壊性甲状腺炎による原発性甲状腺機能低下症の発症を契機に低血糖が頻発したと考えた.甲状腺ホルモン欠乏時には腸管からの糖吸収遅延・肝の糖新生低下と共に,低血糖時の反応性グルカゴン分泌の障害により低血糖の頻度が増加する.低血糖発作の原因として甲状腺機能低下症も念頭に置く必要がある.

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© 2014 一般社団法人 日本糖尿病学会
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