日本消化器外科学会雑誌
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肝原発神経内分泌癌の1例
石部 敦士望月 康久鬼頭 文彦福島 恒男
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2006 年 39 巻 5 号 p. 566-571

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抄録

症例は51歳の男性で, 健康診断で肝機能異常があり近医で肝腫瘍を指摘され当科入院となった. 入院時検査結果でCA19-9 284U/dlと高値であった. 造影CTでは肝左葉に径10cmの中心部は低吸収域, その周囲は被膜様の造影効果を有する腫瘍を認めた. MRCPで末梢胆管の拡張を認め, 胆管細胞癌の診断で肝左葉切除を施行した. 肉眼的に門脈腫瘍栓を認めた. 病理組織学検査ではnucleocytoplasmic (N/C)比の高い未分化な円形細胞が髄様に増殖し, 一部ロゼット形成を認めた. 免疫組織化学検査で塗銀染色, synaptophysin陽性であり神経内分泌癌と診断した. 術後13か月現在無再発生存中である. 肝臓原発の神経内分泌癌は非常にまれな疾患で予後不良とされており, 今後も注意深く経過観察する必要がある.

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