日本消化器外科学会雑誌
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術前診断が困難であった膵内分泌腫瘍の1切除例
飯田 洋也丹後 泰久蔦本 慶裕張村 貴紀田中 研次高尾 貴史湯澤 浩之島袋 誠守草野 敏臣入江 康司
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2007 年 40 巻 1 号 p. 69-73

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抄録

症例は67歳の女性で, 近医に高血圧, 糖尿病で通院中であった. 血糖コントロールの悪化と, 腹部超音波検査で膵腫瘍を指摘され紹介入院となる. 血液検査所見ではエラスターゼ1が900ng/dlと高値であった. 腹部超音波検査所見では主膵管の閉塞と末梢膵管の拡張を認めた. MRCP所見では膵体部にて膵管は途絶し, 末梢膵管は拡張していた. ERCP所見でも, 膵体部にて膵管は途絶していた. 腹部CT所見では明らかな腫瘤は同定できなかった. その他, 上部消化管内視鏡検査, 下部消化管造影検査にて, 異常所見はなかった. 以上より, 通常の膵管癌を疑い, 平成17年2月, 膵体尾部切除術を施行した. 術後の病理組織学的検査にて, 同腫瘍細胞は卵円形細胞が充実性結節状, 胞巣状に増殖し, chromogranin染色陽性であった. また, 各種ホルモンの染色ではserotoninのみ陽性であり, 膵内分泌腫瘍と診断した.

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