日本臨床免疫学会会誌
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総説 特集:Autoinflammatory syndromeの新たなる展開と治療法の確立
Blau症候群と若年発症サルコイドーシスの臨床像とCARD15/NOD2遺伝子異常
金澤 伸雄
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2007 年 30 巻 2 号 p. 123-132

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抄録

  サルコイドーシスは,両側性肺門部リンパ節腫脹を特徴とし,組織学的に非乾酪性類上皮細胞肉芽腫からなる全身性炎症性疾患である.小児例の中に,4歳以下の乳幼児期に発症し,胸部病変を伴わず,関節炎,ブドウ膜炎,皮膚炎を3主徴とする特殊なタイプのあることが知られ,若年発症サルコイドーシスと呼ばれていた.一方,若年発症サルコイドーシスと臨床的に酷似するが,常染色体優性に遺伝する家系が報告され,Blau症候群と呼ばれた.連鎖解析から,原因遺伝子が16番染色体のIBD (Inflammatory Bowel Disease) 1ローカスの近傍に存在することが判明していたが,Crohn病の原因遺伝子として同定されたCARD15 (NOD2)がBlau症候群の原因遺伝子でもあることが明らかとなり,さらに,弧発性の若年発症サルコイドーシスの患者にも同じ遺伝子の変異が見いだされた.Nod2は単球系細胞の細胞質内にあり,細菌細胞壁成分からの情報を感知し,NF-κBを活性化するセンサーとして働く.LRR領域の機能喪失型変異がCrohn病と関連するのに対し,Blau症候群と若年発症サルコイドーシスは,NOD領域の機能獲得型変異により発症する,自己炎症性疾患である.

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© 2007 日本臨床免疫学会
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