2007 年 40 巻 11 号 p. 1793-1798
症例は47歳の男性で, 2006年4月, 上腹部痛で救急外来を受診した. WBC15,200/mm3, CRP22.63mg/dlと高度な炎症反応を認めた. 腹部CTでは胃壁と連続する造影効果のない約7cmの腫瘤が存在し, 骨盤内にはCT値の高い腹水を認め血液が示唆された. 抗生剤の点滴にて, 炎症所見は速やかに改善し腹痛も消失したが, 炎症と内部に血腫を伴ったgastrointestinal stromal tumorの可能性もあるため手術を施行した. 腫瘤は胃幽門前庭部大彎に広範囲に接しており部分切除は困難であったため, 幽門側胃切除術を施行した. 術後の病理組織学的検査で, 腫瘤の主座は大網脂肪織にあり, 中心部は出血を伴いその周囲の脂肪織内に線維化と, リンパ球や形質細胞を主体とした炎症細胞浸潤がみられた. 免疫組織学的検査では, 増殖する紡錘形細胞はvimentin, smooth muscle actin, desminに陽性で, myofibroblastと考えられinflammatory myofibroblastic tumorと診断された.