日本消化器外科学会雑誌
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胃原発髄外性形質細胞腫の1例
佐藤 暢人鈴木 康弘高橋 亮橋本 裕之三栖 賢次郎高橋 基夫近藤 哲
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2007 年 40 巻 4 号 p. 393-398

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抄録

症例は62歳の男性で, 血便を主訴に近医を受診し, 下部消化管内視鏡検査の結果, S状結腸癌の診断となり, 当院に紹介された. 精査目的の上部消化管内視鏡検査で胃体上部から前庭部にかけて粘膜の顆粒状変化を認め, 生検の結果, 胃原発髄外性形質細胞腫と診断した. FDG-PETでは胃, 結腸の病変に一致して強い集積を認めた. 手術は胃全摘, 脾摘, 胆摘とS状結腸切除を行った. 切除標本では粘膜の肥厚を伴う粗顆粒状変化を認めた. 病理組織学的には, 形質細胞のびまん性増殖を認め, 深達度は粘膜固有層までで, リンパ節転移は認めなかった. 免疫染色では腫瘍細胞はIgA, κの産生を示した. 結腸の病変は, 固有筋層までの高分化型腺癌であった. 術後補助療法は行わず, 6か月経過しているが, 再発・転移は認めていない. FDG-PETで集積を認め, 完全切除可能であった胃原発髄外性形質細胞腫の1例を経験したので文献的考察を加えて報告する.

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