抄録
近年,超音波診断装置の進歩は目ざましく,腹部臓器用のカラードプラ断層装置が臨床診断にも応用されている。腎臓についても検討が始まっており,諸家の報告がみられている。我々は,ネフローゼ症候群と溶連菌感染後急性糸球体腎炎の患児においてカラードプラ断層装置を用い,腎臓の区域動脈と葉間動脈の収縮期最高血流速度と拡張期最低血流速度の測定を行った。その結果,ネフローゼ症候群及び溶連菌感染後急性糸球体腎炎では,病初期に上昇していた血流速度が,病状の回復に伴い低下する傾向が認められた。このことから,腎血流速度を経時的に測定することにより,病期の把握に有用であることが示唆された。