日本農村医学会雑誌
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原著
メタボリックシンドロームおよびその予備群を対象にした健康教育介入における肥満改善指標の検討
李 麗梅池西 瑠美岩本 麻実子乃木 章子山崎 雅之王 莉米山 敏美塩飽 邦憲
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2008 年 56 巻 6 号 p. 852-862

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抄録
 メタボリックシンドローム (MS) の主原因は内臓脂肪型肥満とされ,ウエスト周囲径が内臓脂肪型肥満の最もよい指標とされている。しかし,内臓脂肪型肥満の経時的な改善指標としてウエスト周囲径が体重やbody mass index (BMI) よりもすぐれた指標であるか否かについては報告がない。このため,教育介入試験において,体重,BMI,ウエスト周囲径,体脂肪率と,摂食量,生活活動量および脂質代謝や糖代謝などのMSに関連する指標の変化との関連を解析した。対象は,2000~2006年に健康教育介入による3か月間の肥満改善プログラムを修了した358人 (男性91人,女性267人) である。参加者は3か月間で体重を1.7kg (介入前値比3%),ウエスト周囲径を2.4cm (3%) 減少し,体脂肪率を0.5% (2%) 増加させた。体重変化量とBMI変化量は男性0.99,女性0.98と極めてよく正相関し,体重変化量とウエスト周囲径変化量とは男性0.60,女性0.58,体重変化量と体脂肪率変化量とは男性0.45,女性0.38であった。介入により体重やウエスト周囲径が減少していたのに,体脂肪率は有意に上昇していた。平均体重減少量4.4kgの群では,総コレステロール,HDLコレステロール,中性脂肪,血糖,インスリン,HOMA-IRが有意に改善していた。以上のことから,MSの保健指導での肥満指標としては代謝指標の改善をより反映することから体重がウエスト周囲径や体脂肪率よりも優れていた。また,3か月間に体重3~7%の減少で,肥満関連代謝異常に顕著な改善が認められることが明らかになった。
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© 2008 一般社団法人 日本農村医学会
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