10年間に当科で異物誤飲, 誤嚥の診断または疑いで受診した118症例について検討を行った. このうち異物誤飲, 誤嚥と診断されたのは小児群 (15歳以下) 47例, 成人例 (16歳以上) 18例であった. 異物なしと診断された症例は小児群51例, 成人群2例であった. 消化管異物, 気道異物ともに乳幼児と高齢者に多い傾向を認めた. 消化管異物では小児群はボタン型電池, 硬貨などX線非透過性異物が多く, 成人群は義歯とPTP (press through pack) が多かった. 診断は比較的容易で, 合併症もみられなかった. 気道異物では小児群はピーナッツを含む豆類が多く, そのほとんどがX線過性異物であったが, 成人群では歯科用金属が多く, ほとんどがX線非透過性異物であった. 小児のピーナッツ症例は診断までに時間がかかり, 摘出後も重篤な合併症をきたしていた. 異物なしと診断された症例の中に, X線透過性異物が診断できなかった症例が含まれている可能性が考えられた.