日本臨床外科学会雑誌
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症例
著しい増殖能を呈したS状結腸間膜原発平滑筋肉腫の1例
斉藤 拓康小出 直彦関野 康中島 広聖澤野 紳二宮川 眞一
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キーワード: 平滑筋肉腫, S状結腸間膜
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2007 年 68 巻 2 号 p. 463-467

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抄録

症例は57歳の女性で, 腹部全体に疼痛が出現し, 近医を受診した. CTで左下腹部に境界明瞭な分葉状の9×6×8cmの腫瘤を指摘され, 手術目的にて当院紹介となった. 前医にて撮影されたCTと比較し急速な腫瘍の増大 (15×9×14cm) を認め, 腸間膜あるいは後腹膜より発生した非上皮性悪性腫瘍の診断にて腫瘍摘出術を施行した. 開腹したところ腫瘍の表面に横行結腸からS状結腸にかけて癒着を認めたため左半結腸合併切除を施行した. なお, 明らかな転移・腹膜播種は認めなかった. 病理組織学的にはα-SMA, vimentinが陽性で, KIT, CD34, S-100蛋白, desminが陰性であり低分化な平滑筋肉腫と診断した. 核分裂像は20~30/10HPF, Ki-67 labeling indexは56%と増殖能の非常に高い腫瘍であった. 第23病日で退院となったが, 3カ月半後に腹膜播種により死亡した.

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© 2007 日本臨床外科学会
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