日本臨床外科学会雑誌
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症例
粘膜下腫瘍様の形態を示した大腸癌と同時性孤立性胃転移の1切除例
尾上 俊介片山 信小倉 豊白井 量久深谷 昌秀横井 太紀雄
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2008 年 69 巻 10 号 p. 2528-2532

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抄録

症例は35歳,女性.3カ月前より続く腹痛,食欲不振を主訴に来院.腸閉塞の診断にて入院となった.大腸内視鏡所見では,上行結腸に粘膜下腫瘍様の腫瘤を認めた.胃内視鏡所見では,幽門部に粘膜下腫瘍を認めた.上行結腸腫瘍,胃粘膜下腫瘍に対し,右半結腸切除術,幽門側胃切除術を施行した.標本の肉眼所見では,上行結腸に40×25mmの絨毛様粘膜変化を伴う腫瘍を認め,胃幽門部には45×35mmの粘膜下腫瘍を認めた.病理組織所見では,大腸に粘膜下組織を主座とした高分化型腺癌を認めた.胃腫瘍は大腸腫瘍に類似した組織型であった.術後1年7カ月経過し,無再発生存中である.粘膜下腫瘍の形態を示す大腸癌は比較的稀である.大腸癌胃転移の本邦報告21例のうち11例に切除が行われ,術後1年以上無再発と記載のあるものは2例のみであった.

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© 2008 日本臨床外科学会
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