日本臨床外科学会雑誌
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症例
術前に非機能性副腎腫瘍と診断した後腹膜神経節神経腫の1例
前田 佳彦岸 清志渡邉 淨司中村 誠一澤田 隆清水 哲
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2008 年 69 巻 11 号 p. 2995-2998

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抄録

症例は72歳,男性.急性大動脈解離を発症した際の腹部CTで左副腎腫瘍を指摘.CT上脾門部,左腎頭側に120×80mmの境界明瞭な充実性腫瘤を認めた.画像検査,MIBGシンチで異常集積像を認めず,内分泌検査も正常であったことから非機能性左副腎腫瘍と診断.腫瘍径から悪性腫瘍の可能性も考えられたため,開腹手術を施行した.腫瘍は周囲組織と境界明瞭,腹腔動脈幹周囲組織に線維性の固着あり,同部位の神経組織から発生していると考えられた.腫瘍と接して正常と思われる副腎組織が存在していたが術中腫瘍との連続性を把握するのは困難であったことから,左副腎も同時に摘出した.病理検査で束状増殖を呈す小型紡錘形細胞と散在する神経節細胞を認め,副腎との連続性を認めず後腹膜原発神経節神経腫と診断された.本疾患の術前診断は困難なことが多く,この点に関して考察を加えた.

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© 2008 日本臨床外科学会
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