日本臨床外科学会雑誌
Online ISSN : 1882-5133
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69 巻 , 11 号
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原著
  • 増野 浩二郎, 野上 眞子, 田代 英哉, 坂田 久信
    2008 年 69 巻 11 号 p. 2747-2751
    発行日: 2008年
    公開日: 2009/05/12
    ジャーナル フリー
    原発乳癌における術後補助療法としてのTC療法の忍容性を検討した.対象は2006年4月より2008年1月までに治癒切除を施行した浸潤性乳癌症例35例でドセタキセル60mg/m2,シクロフォスファミド600mg/m2を3週間ごとに4クール投与した.TC療法4サイクルの完遂率は33/35例(93%)であった.Grade4の筋肉痛,Grade2の全身皮疹の2例が完遂不能であった.Grade3,4の有害事象の発現頻度は好中球減少が30例(86%),食欲不振が3例(8%),悪心が2例(5%),筋肉痛および全身倦怠感がそれぞれ1例(3%),に認められた.発熱性好中球減少は3例(8%)に認められた.4サイクル投与終了時のドセタキセルのdose intensityは19.2mg/m2/week (range 17.1-20.0)であった.術後補助療法としてのTC療法4クールの投与は適切なマネジメント下で忍容できることが示唆された.
  • 常深 聡一郎, 野村 栄治, 李 相雄, 徳原 孝哉, 谷川 允彦
    2008 年 69 巻 11 号 p. 2752-2759
    発行日: 2008年
    公開日: 2009/05/12
    ジャーナル フリー
    目的:胃癌手術後の重篤な合併症のひとつとして,膵液漏に起因する腹腔内出血がある.同症例の治療方針について検討を行ったので報告する.対象と方法:1997年1月から2007年9月,当科で施行した胃癌切除症例1176例のうち,膵液漏に起因する腹腔内出血を認めた15例に対して行った治療と成績について検討を行った.結果:1176例中,78例(6.6%)に膵液漏を認め,うち15例(1.3%)に腹腔内出血を認めた.合併症の発生には,リンパ節郭清と合併切除による膵損傷が関与している可能性が示唆された.止血法として,IVRによる動脈塞栓術が,開腹止血術と同等の成績を示した.また,予後に関しても同等の成績であった.結語:胃癌術後の膵液漏による腹腔内出血時は,IVRによる動脈塞栓術を中心とする早期の対処が重要であると考えられた.
  • 山崎 将人, 安田 秀喜, 幸田 圭史, 鈴木 正人, 手塚 徹, 小杉 千弘, 杉本 真樹, 樋口 亮太, 矢川 陽介, 土屋 博紀
    2008 年 69 巻 11 号 p. 2760-2765
    発行日: 2008年
    公開日: 2009/05/12
    ジャーナル フリー
    胆道再建20症例を対象にDIC併用造影MDCT(以下:Dual contrast DIC-CT)を行い肝内胆管から吻合部,挙上空腸および胆管壁とその周囲の形態的観察の可能性につき検討した.胆管から吻合部にかけての胆管短径および長径計測可能は右前枝15/20例(75%),右後枝15/20例(75%),左枝10/18例(55.5%),吻合部16/24吻合(66.6%)で,仮想的内腔面観察可能は順に15/20例(75%),11/20例(55%),10/18例(55.5%),11/20例(55%)であった.胆管径計測,内腔面観察不能の原因はpneumobiliaと造影剤による描出不良であった.Dual contrast DIC-CTによる胆管壁の観察から胆管炎を繰り返す症例で壁厚の測定が可能であった.また術後一過性の原因不明発熱を繰り返す症例で吻合部胆管に接する嚢胞性病変を認めその原因と推察された.Dual contrast DIC-CTを用いた検討により胆道再建後症例の病態解明に役立つ検査の一つになり得るものと思われた.
症例
  • 工藤 大輔, 長谷部 達也, 堤 伸二, 小田桐 弘毅, 袴田 健一
    2008 年 69 巻 11 号 p. 2766-2769
    発行日: 2008年
    公開日: 2009/05/12
    ジャーナル フリー
    症例は63歳,女性.乳癌術後補助化学療法のために中心静脈ポートを用いた外来化学療が行われていた.化学療法完遂から6カ月後にヘパリンフラッシュしたところ,右前胸部の疼痛を訴えた.胸部レントゲンを撮影したところ,右下肺動脈内に断裂したカテーテルの先端を認めた.ただちに経大腿静脈的に断裂したカテーテルを摘出した.中心静脈ポート留置後の合併症として,感染などに加え,カテーテル断裂も念頭に置いて,留置と管理を行う必要があると考えられたので,若干の文献的考察をまじえて報告する.
  • 岡田 良, 八島 玲, 長谷川 有史, 佐久間 浩, 小山 善久, 竹之下 誠一
    2008 年 69 巻 11 号 p. 2770-2773
    発行日: 2008年
    公開日: 2009/05/12
    ジャーナル フリー
    症例は47歳,女性.2007年5月25日左側胸部を強打し,徐々に腹痛が増強したため,当院救急外来を受診した.腹部所見と腹部造影CT検査の結果,外傷性脾損傷,汎発性腹膜炎の疑いにて,受傷3時間後に緊急手術を施行した.32歳時バセドウ病と診断され内服治療していたが,3年前より自己判断で治療を中断していた.今回術前より甲状腺機能亢進症によると考えられる頻脈,発汗および発熱が認められたため,対症療法で経過をみていた.しかし,術後2日目に急性呼吸不全となり,外傷,手術を契機に発症した甲状腺クリーゼと判断したため,すぐに抗甲状腺薬,ルゴールおよびステロイドなどの薬物治療と人工呼吸器管理を開始したことにより,救命しえた.甲状腺機能亢進症を有する症例に対しては,常に甲状腺クリーゼを発症する可能性を念頭におき,発症を疑った場合には速やかに適切な治療を開始することにより救命率に貢献する可能性が示唆された.
  • 斉藤 光徳, 青野 哲也, 岡田 洋次郎
    2008 年 69 巻 11 号 p. 2774-2777
    発行日: 2008年
    公開日: 2009/05/12
    ジャーナル フリー
    症例は84歳,女性.20年前より頸部に腫瘤を自覚していたが放置していた.2003年2月,転倒し右橈骨々折にて当院整形外科を受診した際に頸部腫瘍を指摘され当科紹介となった.腫瘍は最大径18cm大と巨大であったが,症状は腫瘍による腫瘤触知,頸部違和感のみで呼吸困難や嗄声などは認めなかった.頸部CT検査では甲状腺右葉の一部から発生した多結節癒合状の腫瘍で内部不均一であり,周辺組織を圧排していたが,周囲との境界は比較的明瞭であるため,切除可能と判断し外科的治療を行った.手術は甲状腺右葉切除を施行し,術後の病理組織診にて甲状腺濾胞癌の診断を得た.術後5年を経過した現在,無再発で外来経過観察中である.
  • 山口 敏之, 花村 徹, 高田 学, 小松 信男, 橋本 晋一, 小山 正道
    2008 年 69 巻 11 号 p. 2778-2783
    発行日: 2008年
    公開日: 2009/05/12
    ジャーナル フリー
    症例は76歳,女性.検診マンモグラフィ(以下MMG)で右乳輪近傍の腫瘤を指摘され,精査目的で外来受診した.触診上,右C領域の乳輪近傍に直径0.8cm大の表面平滑,境界明瞭で可動性良好な硬い腫瘤を触れた.MMGでは円形,境界明瞭で乳腺と等濃度の腫瘤を右乳輪近傍に認めた.超音波検査で腫瘤は充実性エコーパターンを示し,円形,境界明瞭で内部エコーは均一で低~等エコー,後方エコーは増強していた.穿刺吸引細胞診で鑑別不能と診断されexcisional biopsyを行った.病理学的には中心部にadenosis様の大小の腺管があり,周辺には軟骨化生が目立ち,乳腺pleomorphic adenomaと診断された.外来で経過観察中であるが約1年経過した現在,再発の徴は認めていない.
  • 吉田 千絵, 牧野 春彦
    2008 年 69 巻 11 号 p. 2784-2788
    発行日: 2008年
    公開日: 2009/05/12
    ジャーナル フリー
    症例は38歳,女性.左乳房痛と左乳房腫瘤を主訴に近医を受診し,乳腺症の診断で経過観察されていた.半年後,腫瘤が増大したため当院を受診した.視診では,乳頭上部に紫斑と乳頭陥凹が認められ,触診では左の乳頭を中心に約5.2cm大の軟らかい,可動性良好な腫瘤を触知した.CTでは内部が不均一に造影される5cm大の腫瘤が認められたが,細胞診は判別困難だった.針生検にて乳腺血管肉腫と診断され,左乳房単純切除術を施行した.切除標本では乳頭付近に皮下出血が認められ,割面では,乳頭直下に3×9cm大の腫瘤が認められた.病理診断はlow grade主体で一部intermediate gradeの乳腺血管肉腫であった.術後補助療法として胸壁照射を施行し,現在経過観察中である.乳腺血管肉腫は比較的稀な疾患であり,診断に難渋する.今回,乳腺血管肉腫の1例を経験したので報告する.
  • 湯山 友一, 山田 毅, 岡崎 裕
    2008 年 69 巻 11 号 p. 2789-2793
    発行日: 2008年
    公開日: 2009/05/12
    ジャーナル フリー
    症例は57歳,女性.左乳房腫瘤を主訴に当科を受診した.左乳房C領域に10mmのしこりを触知した.乳頭異常分泌認めず,腋窩リンパ節腫大も認めなかった.乳房超音波,マンモグラフィ検査からは,浸潤性乳管癌を疑う所見であった.穿刺吸引細胞診では,核異型の強い大小不同な細胞集塊を認めた悪性を診断した.以上から,早期乳癌(T1N0M0)として乳房部分切除および腋窩リンパ節郭清(Bq+Ax)を施行した.病理組織学的には,腫瘍細胞が小胞巣状から索状に増殖を呈した腫瘍で,軟骨基質が周囲に見られ,癌腫上皮成分と骨・軟骨基質の間に紡錘細胞を認めないmatrix -producing carcinoma(MPC)と診断した.
  • 清水 孝王, 武藤 一朗, 岡田 貴幸, 青野 高志
    2008 年 69 巻 11 号 p. 2794-2798
    発行日: 2008年
    公開日: 2009/05/12
    ジャーナル フリー
    Invasive micropapillary carcinoma(以下IMP)の組織像を呈した,男性乳癌の非常に稀な1例を経験したので報告する.
    症例は77歳,男性.2000年4月末頃に左乳房の腫瘤に気づいた.8月当科受診.左乳房に類円形で約5cmの腫瘤を認めた.穿刺吸引細胞診にてadenocarcinomaの診断であった.左乳房切除+リンパ節郭清(Auchincloss法)施行.術後の病理組織検査にてIMPと診断された.
    IMPは,1993年にSiriaunkgulらが浸潤性乳管癌の1亜型として報告してから,浸潤癌のなかでもリンパ管侵襲・リンパ節転移が高度で予後の悪い組織型として近年注目されているが,その報告例は少ない.
    その病理組織所見が,好酸性の細胞質をもつ立方状~円柱状の細胞が血管を含まない結合織性間質の伴った,微小乳頭状癌胞巣を形成し,周囲の間隙を介して細い膠原線維性の間隙に取り囲まれるという特徴的な組織像を示し,HE染色にて比較的容易に診断がつくとされている.
    しかし,その発症年齢,腫瘍径や肉眼所見は通常の乳癌と比べて差が無いため,術前にIMPであると診断を得ることは難しい.本症例においても臨床所見や画像においても通常の乳癌とは区別がつかなかった.
    以上から,術前の穿刺吸引細胞診でIMPを推定することは診断治療方針の決定において重要であると考えられた.
  • 井上 善博, 野原 丈裕, 岩本 充彦, 住吉 一浩, 高橋 優子, 谷川 允彦
    2008 年 69 巻 11 号 p. 2799-2803
    発行日: 2008年
    公開日: 2009/05/12
    ジャーナル フリー
    症例は44歳,女性.2005年2月27日に自己触診にて右乳房の腫瘤を認め当院外来を受診した.視触診上,右乳房C領域に3.1×3.0cm大の腫瘤を認め,右乳房は左乳房に比べ明らかに小さく,右乳輪は左乳輪と比べ高位置であった.マンモグラフィー,超音波検査,穿刺細胞診の結果,右乳癌(classV)と診断した.また胸部CT検査にて右側の大胸筋,小胸筋,前鋸筋の欠損が疑われた.術前に右上肢の機能障害は認めなかった.2005年3月24日,当院にて乳房切除術(児玉法)を施行,術中所見でも大胸筋,小胸筋,前鋸筋は認めなかった.病理組織検査では2.3×2.0×1.1cm,papillotubular carcinoma,f,pT2,n0,M0 stage IIA,免疫組織学的検討ではER(+),PgR(+),Her2(2+)と診断された.先天性胸筋欠損症に併発した乳癌は極めて希有であり,文献的考察を加えて報告する.
  • 長谷川 聡, 千島 隆司, 樋口 晃生, 渡辺 一輝, 池 秀之
    2008 年 69 巻 11 号 p. 2804-2808
    発行日: 2008年
    公開日: 2009/05/12
    ジャーナル フリー
    症例は75歳,女性.38歳の時左乳癌ため胸筋合併乳房切除術+卵巣摘出術を施行された.病理等の詳細は不明である.72歳ごろより左胸壁に腫瘤が出現し徐々に増大し,出血を認めたため平成17年11月上旬近医受診し,生検で乳癌と診断された.CT上左前胸部の腫瘤は縦隔,心嚢へ浸潤していた.Anastazole,Trastuzumabの投与を開始し,放射線照射を計61Gy行った.75歳時に転居に伴い当院へ転院となったが,胸壁の病変は徐々に縮小し現在PRとなり,鎮痛目的で用いていたフェンタニールパッチも不要となった.再発に対し治療を開始後2年現在,外来でAnastazoleを単独投与し,PRを維持している.
  • 西山 康之, 坂口 潮, 村本 一浩, 柳澤 克嘉, 蔵野 良一, 岩瀬 弘敬
    2008 年 69 巻 11 号 p. 2809-2812
    発行日: 2008年
    公開日: 2009/05/12
    ジャーナル フリー
    症例は59歳,女性.T3 N3a M0 ER(-) PgR(-) HER2陽性.CEF100×4→DTX×4+トラスツズマブを施行後,理学所見・画像上腫瘍が消失したためBp+Axを施行し術後50Gyの照射を行った.切除標本において組織学的治療効果判定Grade 3,リンパ節転移も消失していた.しかし術後5カ月で局所に炎症性乳癌型再発をきたした.
    術前化学療法を行う上でpathological CR(pCR)は良好な予後を示すsurrogate markerとして有用である.一方,炎症性乳癌型再発は極めて予後不良とされている.しかし,術前化学療法~手術後の炎症性乳癌型再発に関してはまとまった報告はみられず,その発生頻度,予後など不明な点が多い.今回われわれは術前化学療法後pCRが得られたが,早期に炎症性再発をきたした症例を経験したので報告する.
  • 大熊 利之, 阿部 真也, 松本 孝嗣, 本郷 弘昭, 箕田 誠司, 金光 敬一郎
    2008 年 69 巻 11 号 p. 2813-2817
    発行日: 2008年
    公開日: 2009/05/12
    ジャーナル フリー
    乳癌の直腸転移は稀である.今回われわれは術後8年目に発症した乳癌直腸転移の1例を経験したので文献的考察を加えて報告する.症例は83歳,女性.約7年半前に左乳癌に対し胸筋温存乳房切除術を受けている.下腹部痛,排便異常を主訴に紹介医を受診し,直腸癌疑いにて当院紹介となった.大腸内視鏡検査で直腸に全周性の狭窄が見られたが生検ではGroup1の診断であった.注腸検査で同部位は約10cm長の狭小化した病変であり,胸腹部CTでは,右水腎症や縦隔リンパ節腫大も認められた.またMRI拡散強調画像では骨転移も認めた.確定診断は得られなかったが,根治的手術は不可能と判断し人工肛門造設術を施行した.約2カ月後に腫瘍が肛門周囲に露出したため生検を施行したところ,乳癌直腸転移との確定診断を得た.われわれが検索した範囲では乳癌直腸転移の本邦文献報告例は自験例が9例目であった.
  • 西村 光平, 田中 寿明, 田中 優一, 鬼塚 誠二, 白水 和雄, 藤田 博正
    2008 年 69 巻 11 号 p. 2818-2821
    発行日: 2008年
    公開日: 2009/05/12
    ジャーナル フリー
    下部食道癌術後の縫合不全,膿胸に起因する大動脈穿孔に対し大動脈ステントグラフト内挿術(endovascular aneurysm repair;以下,EVARと略記)を施行し救命しえた1例を経験した.症例は77歳,男性.胸部下部食道癌にて左開胸開腹下部食道噴門切除・胸腔内食道胃管間有茎空腸間置術を施行した.術後,食道空腸吻合部の縫合不全をきたし,膿胸となった.術後18病日に胸腔ドレーンより大量の出血を認め,大動脈穿孔と判断し緊急EVARを施行した.EVAR後,胸腔ドレーンよりの出血は完全に止血した.その後,縫合不全・膿胸ともに治癒し退院した.近年,大動脈瘤に対するEVARの良好な治療成績が報告され,治療選択枝の一つとして確立されつつある.本症例のごとく食道癌術後の膿胸が原因となる大動脈穿孔に対し,緊急止血処置としてEVARは有用であると考えられる.
  • 黄 英哲
    2008 年 69 巻 11 号 p. 2822-2826
    発行日: 2008年
    公開日: 2009/05/12
    ジャーナル フリー
    妊娠中に発症した気胸を3例経験したので報告する.症例1は35歳,妊娠13週(初回)で右気胸(再発)発症.胸腔ドレナージにて軽快.症例2は28歳,妊娠20週(初回)で左気胸(初回)発症.他院で胸腔ドレナージ挿入したが,肺瘻が持続し当院転科.自己血による胸膜癒着術にて軽快.症例3は37歳,妊娠28週(今回4回目妊娠,3回出産)で右気胸(3回目)発症.胸腔ドレナージ挿入したが,肺瘻が強く,再発を繰り返していたこと,また妊娠中期であったため,手術適応と判断し,胸腔鏡下肺部分切除術施行.中葉の気腫性嚢胞を切除したが,肺瘻が持続したため,自己血による胸膜癒着術を行い,肺瘻が治まり,軽快退院した.いずれも,健児を出産し,母児とも順調に経過し,自然気胸の再発を認めていない.
  • 清島 亮, 岡林 剛史, 金井 歳雄, 中川 基人, 松本 圭五, 小柳 和夫
    2008 年 69 巻 11 号 p. 2827-2831
    発行日: 2008年
    公開日: 2009/05/12
    ジャーナル フリー
    急速に増大し,転移性肺腫瘍との鑑別に苦慮した肺クリプトコッカス症の1例を報告する.症例は72歳,男性.20年来の糖尿病を患っており,コントロール不良だった.stageIIの直腸癌に対して前方切除術が施行され,術後1年6カ月,無症状だが胸部X線にて小結節影を指摘された.CT上,左肺S6に径6mmの結節を認め,3カ月後には17mmまで増大した.良性疾患も鑑別に挙げられたが,経過より転移性肺腫瘍と診断し,胸腔鏡補助下(VATS)左肺S6部分切除術を施行した.術後の病理検査ではグロコット染色,PAS染色ともに陽性のクリプトコッカス菌体を多数認め,肺クリプトコッカス症と診断した.退院後,クリプトコッカス抗原が陰性化するまでフルコナゾールを6カ月間内服した.糖尿病など臨床的に易感染性と考えられる症例においては鑑別診断として本症を考慮する必要があると考えられた.また,良悪性の判断が困難な肺結節性病変に対しては侵襲の少ないVATSは有用であると考えられた.
  • 松田 英祐, 岡部 和倫, 小林 成紀, 平澤 克敏, 杉 和郎
    2008 年 69 巻 11 号 p. 2832-2835
    発行日: 2008年
    公開日: 2009/05/12
    ジャーナル フリー
    症例は51歳,女性.2007年1月,胸痛を主訴に近医を受診した.その際に左胸水を指摘された.胸水穿刺をされたが診断には至らず,その後胸水が消失したことから経過観察されていた.同年8月,再度胸水が貯留したため10月に胸膜生検が行われ,悪性胸膜中皮腫と診断された.加療目的に11月,当院へ紹介となった.左胸膜外肺全摘術を行い,良好に経過している.職業歴から職業曝露は考えられず,また現在の住居も住宅街で周辺に工場はなく環境曝露も否定的と思われた.しかし18歳まで尼崎市に在住し,アスベスト関連工場の近隣に居住していた.他にアスベストに曝露された原因は考えられず,18歳時までの環境曝露による悪性胸膜中皮腫であると考えられた.肺内アスベスト小体を計測したところ職業曝露が疑われる数のアスベスト小体を認め,アスベスト曝露を証明する結果であった.
  • 只野 惣介, 寺島 秀夫, 久倉 勝治, 稲川 智, 大河内 信弘
    2008 年 69 巻 11 号 p. 2836-2841
    発行日: 2008年
    公開日: 2009/05/12
    ジャーナル フリー
    二次性アカラシアは,他疾患に続発して食道アカラシアと類似した臨床所見を呈する病態であり,悪性疾患に続発することが多い.症例は71歳,女性.嚥下困難感を主訴に近医を受診し,画像診断により食道アカラシアと診断され,バルーン拡張が施行された.しかしながら,狭窄症状は進行性に増悪し,3カ月の経過で10kgの体重減少をきたしたため,当院を受診した.精査の結果,びまん浸潤型の腹部食道癌と診断され,経食道裂孔経路で下部食道切除,食道胃吻合が施行された.病理組織学的には,リンパ節転移を伴う扁平上皮癌であり,T3N1M0,StageIIIと診断された.本邦における癌に随伴した二次性アカラシアの報告例を検索したところ,16例が報告されていたが,約半数で食道アカラシアと誤診され,確定診断が遅延していた.本稿において,二次性アカラシアの総論と述べるとともに,診断上の問題点,特にTucker's criteriaについて論じた.
  • 河口 賀彦, 河野 浩二, 中山 裕子, 須貝 英光, 藤井 秀樹
    2008 年 69 巻 11 号 p. 2842-2846
    発行日: 2008年
    公開日: 2009/05/12
    ジャーナル フリー
    患者は59歳,男性.平成14年1月,胸部中部食道扁平上皮癌の診断で,右開胸開腹食道亜全摘術を施行した.胸骨後経路,頸部吻合,大彎側細径胃管再建を行った.なお,術前の上部消化管内視鏡検査で胃に異常は認められなかった.その後,外来通院していたが,平成15年5月,上部消化管内視鏡検査で,再建胃管内に放射状に延長する縦長の発赤帯を認めたが,毛細血管の拡張は明らかではなかった.平成16年5月の上部消化管内視鏡検査では,発赤帯の毛細血管の拡張を認めた.平成17年3月の外来採血時,著明な貧血を認め,上部消化管内視鏡検査で,胃前庭部毛細血管拡張症(GAVE)からの出血と診断し,内視鏡下アルゴンプラズマ凝固療法を実施した.
    GAVEは消失し,胃粘膜の再生上皮化により治癒した.その後,出血の再発は認められていない.
    再建胃管に発生した胃前庭部毛細血管拡張症は非常に稀であり,若干の文献的考察を加え報告する.
  • 篠藤 浩一, 大島 郁也, 有我 隆光, 吉村 清司, 尾崎 正彦
    2008 年 69 巻 11 号 p. 2847-2852
    発行日: 2008年
    公開日: 2009/05/12
    ジャーナル フリー
    症例は67歳,女性.主訴は発熱および左上腹部痛.平成17年7月上旬より左上腹部痛を自覚するも放置していた.7月中旬より痛みが増強し38℃台の発熱が持続したため当院消化器科精査加療目的に入院となり胃腫瘍の診断で8月上旬手術目的で当科転科となった.上部消化管内視鏡検査では胃穹隆部に壁外性の充実性腫瘤を認めた.腹部CT検査では腫瘤は軽度造影効果を認め内部に低吸収域が混在していた.また左横隔膜下には低吸収域を認めた.以上より,GISTなどの胃粘膜下腫瘍の穿孔による腹腔内膿瘍を疑い8月上旬に胃全摘術兼膵尾部・脾合併切除術を行った.腫瘍は穿孔と膿瘍の痕跡を形成していた.病理組織学的検査ではS-100蛋白染色陽性であり胃原発神経鞘腫と診断した.非上皮性良性腫瘍である本症は比較的まれな胃腫瘍であると考えられ若干の文献的考察を加え報告する.
  • 三上 公治, 山田 哲平, 山下 裕一, 二村 聡, 二見 喜太郎, 前川 隆文
    2008 年 69 巻 11 号 p. 2853-2857
    発行日: 2008年
    公開日: 2009/05/12
    ジャーナル フリー
    症例は55歳,男性.4年前に腎細胞癌に対し根治術,1年前に肝転移に対し肝部分切除術を受けていた.腹部膨満感と上腹部不快感を主訴に来院し,腹部CT検査を受け幽門部の全周性肥厚を指摘された.上部消化管造影検査では,linitis plastica様変化により幽門輪狭窄を呈していた.上部消化管内視鏡による狭窄部の粘膜生検では悪性所見は得られなかった.開腹下に幽門輪肥厚部の生検とバイパス術を施行した.生検の結果は腎細胞癌(淡明細胞型)の胃十二指腸転移であった.腎細胞癌からの胃転移により幽門狭窄をきたすことは非常に稀であるので,文献的考察を加えて報告した.
  • 朴 秀吉, 稲川 智, 寺島 秀夫, 柳澤 和彦, 山本 雅由, 大河内 信弘
    2008 年 69 巻 11 号 p. 2858-2862
    発行日: 2008年
    公開日: 2009/05/12
    ジャーナル フリー
    症例は60歳,男性.上腹部痛を主訴に前医を受診した.上部消化管内視鏡検査にて前庭部小彎側に粘膜下腫瘍様の0-IIa+IIc病変を指摘され,低分化型腺癌と診断され,当院紹介受診となった.術前検索にてリンパ節腫大や遠隔転移は認められず,手術の方針となった.手術は幽門側胃切除,D1+β郭清,Billroth-I法再建術を施行した.術後病理組織所見にて腫瘍は充実性胞巣を形成し,N/C比の高い大型不整形核を有しており,免疫染色にてsynaptophysin,chromograninAが共に陽性であり,小細胞癌と診断された.胃原発の小細胞癌は胃癌の中でも稀で,早期にリンパ節転移や肝転移をきたすため,予後不良な疾患として知られており,報告例の多くは進行癌として発見されている.今回粘膜下腫瘍様の発育形態を示し早期に発見された胃原発小細胞癌の切除例を経験したので本邦報告例の検討を含め報告する.
  • 浅海 吉傑, 酒徳 光明, 家接 健一, 清原 薫, 中島 久幸
    2008 年 69 巻 11 号 p. 2863-2866
    発行日: 2008年
    公開日: 2009/05/12
    ジャーナル フリー
    78歳,男性.非代償性肝硬変にて通院中であった.下肢の浮腫を主訴に来院し,血液生化学検査ではTP 4.9g/dl,Alb 2.6g/dlと低蛋白血症を認め精査加療目的に入院となった.上部消化管内視鏡検査で前庭部大彎に十二指腸に脱出する絨毛状の0-I型腫瘍を認め,生検で乳頭状腺癌と診断された.肝予備能は入院以前と著変ないため低蛋白血症の原因として同腫瘍による蛋白漏出性胃腸症が疑われた.99mTc-HSAを用いた蛋白漏出シンチでは上部消化管での蛋白漏出が示唆された.また胃液蛋白は450mg/dlと若干高値であった.腫瘍による蛋白漏出が低蛋白血症の原因と診断し手術を行った.術後7日目の検査ではTP 6.6g/dl,Alb 3.3g/dlと手術により速やかに低蛋白血症は改善した.
  • 田中 知行, 三森 教雄, 羽田 丈紀, 増渕 正隆, 池上 雅博, 矢永 勝彦
    2008 年 69 巻 11 号 p. 2867-2871
    発行日: 2008年
    公開日: 2009/05/12
    ジャーナル フリー
    症例は63歳,男性.2004年10月に2週間続く食思不振,腹部膨満を主訴に来院し,著明な炎症反応を認めたため精査加療目的で入院した.既往に無治療の糖尿病があった.術前検査で4型胃癌と診断,生検結果は低分化型腺癌であった.開腹所見は胃全体の硬化とリンパ節腫大を認め,胃全摘・脾合併切除術を行った.病理組織学的所見では早期類似進行癌の他に,広範に炎症細胞浸潤と線維性変化を呈した化膿性胃炎があり,これが4型胃癌と誤認した原因であった.化膿性胃炎は稀で術前診断困難な疾患であり4型胃癌との鑑別がしばしば問題となる.胃癌の鑑別診断として本症を念頭に置く必要がある.
  • 十倉 正朗, 勢馬 佳彦, 上坂 邦夫, 杉本 武巳
    2008 年 69 巻 11 号 p. 2872-2876
    発行日: 2008年
    公開日: 2009/05/12
    ジャーナル フリー
    原発性血小板血症(以下essential thrombocytemia;ET)に合併した胃癌手術症例(78歳,女性)を経験した.本症例は約10年前確定診断当時,上部内視鏡検査にて腫瘤は見られずETの診断基準を満たしていた.
    ETは比較的珍しい疾患で血栓や出血を伴うことが多く,血小板数と血小板機能が問題となる.骨髄系悪性転化がみられる一方,胃癌合併は一般発症と同程度と考えられる.血小板機能亢進や血小板増加は薬剤にて対応が可能であるが,出血に対する対応は難しい.本症例は血小板が200万/mm3以上になることがあるが血栓症状・出血症状を呈することなく安定し,200万/mm3以上ではラムニスチンを使用していた.胃癌手術に伴う出血や凝固異常が心配されたが,特に術後大きな合併症なく経過した.ETは個々の患者によって出血や血栓症状の出現は大きく異なり,臨床経過を観察し,手術時の急激な変化に対する準備が必要と考えられた.
  • 上月 章史, 篠崎 浩治, 高里 文香, 木全 大, 小林 健二, 尾形 佳郎
    2008 年 69 巻 11 号 p. 2877-2882
    発行日: 2008年
    公開日: 2009/05/12
    ジャーナル フリー
    症例は76歳,女性.幽門側胃切除術,Billroth-II法再建の既往歴があった.前日から突然の下腹部痛を認め,腹痛が悪化するために当院救急外来を受診した.来院時理学所見は腹部全体が板状硬であり,腹部CT検査で膵頭部・十二指腸背側から右腎上極の後腹膜腔に多量の腹水と気腫を認めた.消化管穿孔による汎発性腹膜炎と診断し緊急手術を施行した.十二指腸下行脚腹側に穿孔を有する憩室を認め,憩室内部に腸石が6個存在した.また,十二指腸下行脚から横行結腸間膜にかけて広範囲の浮腫と壊死を認め,膵頭部には強い炎症所見を認めた.腸石を伴った十二指腸憩室の穿孔と診断し,膵頭十二指腸切除術・Whipple法再建を施行した.切除標本病理検査にて十二指腸憩室の穿孔と壊死および膵炎像を認めた.術後,膵空腸吻合部の縫合不全を併発したが,保存的加療にて軽快した.幽門側胃切除術,Billroth-II法再建後,憩室内に多数の腸石を有する,十二指腸下行脚憩室穿孔をきたした1例を経験したので報告する.
  • 垣本 佳士, 八木 淑之, 倉立 真志, 松村 敏信, 藤野 良三
    2008 年 69 巻 11 号 p. 2883-2886
    発行日: 2008年
    公開日: 2009/05/12
    ジャーナル フリー
    症例1:58歳,女性.心窩部不快感を主訴に救急外来を受診した.CTにて左傍十二指腸ヘルニアと診断し,手術を施行した.術中所見ではTreitz靱帯の左側に空腸が陥入していた.腹腔鏡下ヘルニア修復術を施行した.
    症例2:75歳,女性.若年時からくり返す腹部膨満あり近医を受診,CTにて内ヘルニアを疑われ当科に紹介された.左傍十二指腸ヘルニアと診断し,腹腔鏡下ヘルニア修復術(HALS)を施行した.術中所見では上部小腸3分の2がTreitz靱帯周囲の間膜内に陥入していた.左傍十二指腸ヘルニアは傍十二指腸窩(Landzert窩)と呼ばれる,下腸間膜静脈の背側右側に生じる腹腔窩から小腸が後腹膜へ脱出する内ヘルニアである.本邦での術前正診率は10%台と低い.今回われわれは術前に診断にいたり,腹腔鏡下に修復しえた左傍十二指腸ヘルニアの2例を経験したので文献的考察を加え報告する.
  • 山本 尚樹, 藤田 博文, 邦本 幸洋, 原田 直樹, 廣吉 基己, 荻野 和功
    2008 年 69 巻 11 号 p. 2887-2891
    発行日: 2008年
    公開日: 2009/05/12
    ジャーナル フリー
    症例は71歳,男性.検診で胸部異常影を指摘され,当院受診.肺結節精査目的のPET検査で偶然十二指腸乳頭部付近に高集積像(SUV 7.1)を認めた.悪性腫瘍の可能性を考えさらに精査を進め,十二指腸乳頭部癌と診断.幽門輪温存膵頭十二指腸切除,D2リンパ節郭清を行った.病理組織診断は0.6cm pT1(Du0 Panc0)H0P0N0M(-) pEM0 stage Iであった.十二指腸乳頭部癌は乳頭部周囲腫瘍の中では比較的早期に発見され,切除を行うことにより,予後の期待できる疾患である.画像診断の進歩により早期発見が可能になりつつあるが,十二指腸乳頭部癌ではPETが有用であるとの報告もある.今回われわれはPETを契機に診断された十二指腸乳頭部癌の1例を経験したため,若干の文献的考察を加えて報告する.
  • 田口 宏一, 今井 敦, 松久 忠史, 湊 正意, 岩木 宏之
    2008 年 69 巻 11 号 p. 2892-2896
    発行日: 2008年
    公開日: 2009/05/12
    ジャーナル フリー
    症例は71歳,女性.上腹部痛と食欲不振を主訴に受診.血液検査では貧血と低栄養,電解質異常を認めた.上部消化管内視鏡検査で十二指腸下行脚Vater乳頭対側に2型の腫瘍を認め,生検で高分化型腺癌と診断.上部消化管造影検査では十二指腸下行脚から瘻孔を通じて上行結腸が造影された.血管造影では膵十二指腸アーケードの腫瘍濃染像と血管の狭窄を認めた.十二指腸横行結腸瘻を形成した原発性十二指腸癌の診断にて開腹.十二指腸下行脚の腫瘍が横行結腸に浸潤して一塊となっていた.肝転移,腹膜播種はみられず,膵頭十二指腸切除術と結腸右半切除術を施行した.術後は合併症なく経過し,6年経った現在再発の徴候なく,元気で生存中である.消化管癌で十二指腸結腸瘻を合併した場合,膵頭十二指腸切除術と結腸合併切除術は,全身状態が許せば,有効な治療法と考えられる.
  • 阿部 裕, 飯島 忠, 西村 彩, 福島 元彦
    2008 年 69 巻 11 号 p. 2897-2899
    発行日: 2008年
    公開日: 2009/05/12
    ジャーナル フリー
    症例は61歳,男性.右下腹部痛,腹部膨満感を主訴に近医受診.イレウスの診断で当科紹介となった.腹部所見は右下腹部を最強点とする腹部全体の圧痛を認めた.反跳痛はみられなかった.白血球10,150/mm3,CRP 3.76mg/dlと炎症反応を認めた.腹部CTで右下腹部を中心とする腸管の拡張および壁肥厚像を認めた.虫垂炎手術の既往があったため,これに伴う腸閉塞症と考え手術の方針とした.腹腔鏡で腹腔内を観察すると膿性の腹水を認め,腸管を検索すると小腸の穿孔部を認めた.また同部位に突出した鋭利な異物を認めた.小開腹のうえ腸管を引き出し,異物を除去および穿孔部を縫合閉鎖した.異物は術後の問診から鳥骨であると考えられた.本症例については術前診断には至らず,腹腔鏡観察にて診断を得たが,retrospectiveにCTを検討すると,線状のhigh densityが描出されており,この疾患を念頭にいれておく必要があった.
  • 柳澤 智彦, 横森 欣司, 前田 貢作, 田辺 好英, 久田 正昭, 馬場 勝尚
    2008 年 69 巻 11 号 p. 2900-2903
    発行日: 2008年
    公開日: 2009/05/12
    ジャーナル フリー
    Ladd手術の1年3カ月後に中腸軸捻転を再発した稀な症例を経験したので報告する.
    生後5日に腸回転異常のため中腸軸捻転をきたしLadd手術を施行した男児が,1年3カ月後に胆汁性嘔吐のため当院を受診した.術後イレウスの診断で入院し保存的に治療したが改善が得られなかった.第3病日に急激に全身状態の悪化を生じ,腹部CTにて腸管の拡張と多量の腹水を認めた.絞扼性イレウスを疑い,同日,緊急手術を施行した.小腸は再び中腸軸捻転をおこし拡張し,広汎に壊死していた.捻転解除後も腸管虚血は改善されず,壊死腸管を切除した.残存した腸管は40cmであり,術後に患児は短腸症候群をきたした.
  • 斉藤 貴明, 岡本 規博, 金子 猛, 飯野 一郎太, 綿引 洋一
    2008 年 69 巻 11 号 p. 2904-2907
    発行日: 2008年
    公開日: 2009/05/12
    ジャーナル フリー
    症例は100歳,男性.腹痛と嘔吐を主訴に近医を受診した.保存的に経過観察するも症状の改善なく,翌日当院に紹介入院となった.腹部全体は膨隆し右下腹部を中心に圧痛を強く認めた.腹部単純X線では鏡面像を伴う拡張した小腸が散見され腸閉塞と診断した.腹部CT検査では拡張した小腸係蹄が盲腸の背側に位置していたため,盲腸後窩ヘルニアを強く疑った.高齢ではあったが緊急手術を施行した.開腹すると回腸末端から約50cm部位で約15cmの回腸係蹄が盲腸後窩に嵌頓していた.用手的に整復後,盲腸を後腹膜に固定しヘルニア門を閉鎖した.盲腸後窩ヘルニアは比較的稀な疾患であり,術前診断は困難とされている.本症例ではCT撮影が術前診断に有用であり,高齢者の緊急手術にふみきることが可能となった.検索し得る限りで本邦では最高齢者であり,また術後の経過はトラブルもなく良好で,術後14日で退院が可能となった.
  • 木村 明春, 平松 聖史, 宮田 大士, 待木 雄一, 櫻川 忠之, 加藤 健司
    2008 年 69 巻 11 号 p. 2908-2911
    発行日: 2008年
    公開日: 2009/05/12
    ジャーナル フリー
    症例は79歳,男性.腹痛を主訴に当科紹介・受診となった.腹部造影CTで虫垂が多房性嚢胞状に腫大していたため虫垂粘液嚢胞と診断し回盲部切除術を施行した.術後病理組織学的診断で虫垂憩室炎と診断された.虫垂憩室炎は,虫垂切除症例中約0.004~2.2%と比較的な稀な疾患であり,特異的な所見に乏しいため術前確定診断にいたるのは難しい.また画像上多房性嚢胞状に腫大する形態を呈する虫垂憩室炎は稀であり,術前診断が困難であったが,画像診断の進歩とともに今後このような症例は増加すると考えられる.虫垂嚢胞性腫瘍との鑑別診断をするうえで考慮すべき疾患であると考えられるので若干の文献的考察を加え報告する.
  • 檜垣 栄治, 久世 真悟, 京兼 隆典, 柴原 弘明, 高見 澤潤一, 河崎 秀陽
    2008 年 69 巻 11 号 p. 2912-2916
    発行日: 2008年
    公開日: 2009/05/12
    ジャーナル フリー
    症例は71歳,男性.左上腹部痛で近医を受診,精査目的で当院へ紹介となった.左上腹部に手拳大の腫瘤を触知し,腹部造影CTで左上腹部に層状の脂肪濃度と嚢胞状部分を含む不均一な濃度の腫瘤を認め,注腸造影検査で横行結腸に蟹爪様の閉塞所見を認めた.結腸腫瘤による腸重積と診断し,重積の整復を試みたが不可能であったため緊急手術を行った.開腹し重積を整復すると,3.5cm大の腫瘤を虫垂根部に触知した.虫垂原発の腫瘍を疑い右結腸切除,D3リンパ節郭清を施行した.切除標本において虫垂内腔は粘液で満たされており,病理組織学的診断は虫垂粘液嚢胞腺腫であった.虫垂粘液嚢腫による腸重積は稀であり,整復できなければ術前診断は困難なことが多い.嚢胞性腫瘤を先進部とする大腸型腸重積では,本疾患を念頭に置くべきであると考えられた.
  • 田上 修司, 一瀬 真澄, 山本 育男, 冨士原 正人
    2008 年 69 巻 11 号 p. 2917-2921
    発行日: 2008年
    公開日: 2009/05/12
    ジャーナル フリー
    症例は70歳,男性.3日前より持続する右下腹部痛を主訴として外来受診した.血液検査データ上,炎症所見は高値を示し腹部造影CTにて軽度腫大した虫垂を認め,その周囲に隔壁を伴う液貯留がみられた.急性虫垂炎・虫垂周囲膿瘍と診断し,同日緊急手術を施行した.腹腔鏡で観察したところ,虫垂に表面平滑な腫瘤形成を認めた.周囲と癒着しており剥離する際に壁が破裂,白色膿汁が大量に流出した.腹腔鏡下では継続困難と判断し開腹,癒着剥離が困難であり回盲部切除術を施行した.摘出標本では直径約6cmの嚢胞の中央に虫垂様の構造物を認めた.病理組織学的検査では虫垂の嚢胞状拡張を認め,内腔には核腫大を示す上皮の乳頭状増殖を認めたが明らかな悪性所見は認めず膿瘍形成を伴う虫垂粘液嚢胞腺腫と診断された.術後2日目に上腸間膜静脈血栓症を発症するも保存的に改善し第35病日に退院となった.
  • 高澤 慎也, 中原 さおり, 金森 豊, 杉山 正彦, 川嶋 寛, 岩中 督
    2008 年 69 巻 11 号 p. 2922-2926
    発行日: 2008年
    公開日: 2009/05/12
    ジャーナル フリー
    症例はCornelia de Lange症候群の24歳,男性.経口摂取不良,発熱,全身痙攣を主訴に近医を受診し,イレウスと診断された.第4病日に当院に転院となり,イレウス管を挿入した.腹満は徐々に軽減し第15病日にイレウス管をクランプしたが,小腸が再び拡張したため減圧を再開した.第18病日に心肺停止となるが蘇生し,全身状態の改善を待って第51病日に手術を行った.回盲部が捻転し横隔膜に強固に癒着していた.上行結腸は離断閉鎖しており,右結腸動脈の血流が途絶していた.回盲部切除,回腸結腸吻合を施行し,術後経過は良好であった.腸捻転,腸重積などに続いて後天的に腸閉鎖が生じた報告はいくつかあるが,成人での報告は今回が初めてである.本症例は回盲部捻転症による血行障害の結果,腸管は一部壊死したがイレウス管による減圧が奏効し限局性の腹膜炎を起こすにとどまり,虚血部の治癒過程で腸閉鎖が生じたと考えられた.
  • 島崎 二郎, 渡辺 善徳, 春日 照彦, 佐谷 徹郎, 中田 一郎, 田渕 崇文
    2008 年 69 巻 11 号 p. 2927-2930
    発行日: 2008年
    公開日: 2009/05/12
    ジャーナル フリー
    稀な形態を呈し内視鏡的切除により診断が得られた大腸脂肪腫の1例を経験したので,文献的考察を含め報告する.
    57歳,男性.健診にて便潜血反応陽性を指摘され受診.注腸検査では,S状結腸に径約3cm大のポリープ陰影を認め,大腸内視鏡検査では,同部位に表面が分葉状の有茎性ポリープを認めた.生検組織診断では,粘膜上皮の過形成性変化と一部に異型上皮を認めたため,同ポリープに対して内視鏡的ポリープ切除術を施行した.切除されたポリープは,大きさ3.5×3.0×2.0cmで茎部の直径は1.5cm,切除断端面に脂肪組織の露出を認めた.病理組織所見は,粘膜下層に成熟した脂肪細胞の増生像を認め良性の脂肪腫の診断となった.なお,粘膜の陰窩上皮には過形成性変化を認めるも,腫瘍性変化は認めなかった.脂肪腫に関しては切除断端陽性であるが,切除された範囲では悪性所見は認められず経過観察となった.
  • 境 雄大, 小倉 雄太, 成田 淳一, 若山 文規, 兒玉 博之
    2008 年 69 巻 11 号 p. 2931-2935
    発行日: 2008年
    公開日: 2009/05/12
    ジャーナル フリー
    症例は83歳,男性.Stage IのS状結腸癌手術の11年後に呼吸困難を主訴に近医を受診した.胸部X線写真でうっ血性心不全と診断され,心電図と心臓超音波検査から拡張型心筋症が疑われた.貧血があり,消化管精査を行った.直腸S状部に2型腫瘍があり,生検で腺癌と診断された.心不全が改善したため,全身麻酔下にHartmann手術を行った.腫瘍はSS,N1,H0,P0,M0,Stage IIIa,低分化腺癌であった.術中はホスホジエステラーゼIII阻害薬,抗不整脈薬を使用し,術後は輸液量の制限と利尿剤投与を行い,心不全の増悪なく経過した.術後に施行した心臓核医学検査で虚血性心筋症が疑われた.薬剤治療で心症状が安定し,術後第60病日に退院した.術後5年を経過し,心不全の増悪,大腸癌の再発を認めていない.心筋症による心不全を呈する症例でも,心不全がコントロールされていれば,術前評価と周術期管理により,全身麻酔下の大腸癌根治術が可能と思われた.
  • 神藤 修, 斉藤 貴明, 寺田 博文, 中村 昌樹
    2008 年 69 巻 11 号 p. 2936-2941
    発行日: 2008年
    公開日: 2009/05/12
    ジャーナル フリー
    症例は88歳,女性.コーヒー残渣様の嘔吐と粘血便を主訴に紹介受診となった.腹部レントゲンでは小腸ガスの拡張と下行結腸の気腫像を認めた.腹部CTにて著明な肝内肝外門脈ガス血症を認めた.救急室で血圧は60mmHg前後まで低下し,ショック状態を呈していたため,緊急開腹は困難と考え,イレウス管留置の上,保存的加療とした.その他2例の高齢女性に入院中に発症した門脈ガス血症を経験したが,いずれも保存的に軽快した.門脈ガス血症は腸管壊死に起因することが多く,緊急手術の対象となることが多いとされている.だが最近では,ウイルス性腸炎を起因とすることが多いことも知られ,現在では必ずしもすべての症例で緊急開腹が必要であるとは考えられていない.本症例では画像上,腸管壊死を考えるほど強い腸炎に起因した腸管気腫に門脈ガス血症を伴った症例であったが,保存的に加療することが可能であった.
  • 野中 隆, 七島 篤志, 角田 順久, 澤井 照光, 安武 亨, 永安 武
    2008 年 69 巻 11 号 p. 2942-2945
    発行日: 2008年
    公開日: 2009/05/12
    ジャーナル フリー
    腹腔鏡下手術は,その低侵襲性から種々の消化器分野においても標準術式として確立してきたが,肝切除に関しては止血操作などの困難さから未だ普及に時間がかかっている.近年では安全な肝切離を施行するために様々な止血器具も登場し,それに伴い腹腔鏡下肝切除の症例も増加してきている.今回われわれはベッセルシーリングシステム(以下Liga Sure TM)を用い腹腔鏡・用手補助下にて切除した大腸癌同時性肝転移の1例について報告する.
  • 播本 憲史, 調 憲, 安部 智之, 梶山 潔, 長家 尚
    2008 年 69 巻 11 号 p. 2946-2951
    発行日: 2008年
    公開日: 2009/05/12
    ジャーナル フリー
    症例1:75歳,女性.11年前に肝門部腫瘤に対して経皮的針生検を行い,神経鞘腫の確定診断を得ており,当院にて経過観察中であった.徐々に最大腫瘍径が2cmから4.5cmと増大してきたため,腫瘍摘出術を行い,11病日目に自宅退院となった.
    症例2:81歳,男性.高脂血症にて近医通院中,エコーにて肝門部に6cm大の腫瘤を認めたため当科紹介となった.FDG(18F-fluoro-2-deoxy-D-glucose)-PET(positron emission tomography)にて集積を認め,悪性の可能性が否定できないために腫瘍摘出術を施行した.術後8病日目に自宅退院した.
    いずれの症例も良性神経鞘腫の診断であった.発生部位として総肝動脈神経叢由来と考えられるが,非常に稀であり,術前診断はエコー,CT,MRI,FDG-PET等の画像検査のみでは困難であり診断的治療である外科的治療が推奨される.
  • 馬場 慎司, 間中 大, 玉木 一路, 坂元 克考, 上原 正弘, 王子 裕東
    2008 年 69 巻 11 号 p. 2952-2955
    発行日: 2008年
    公開日: 2009/05/12
    ジャーナル フリー
    症例は80歳,女性.残胃のgastrointestinal stromal tumor(以下,GIST)にて手術後,外来にて施行したCTにて多発性肝転移を認めたためイマチニブ投与を開始.奏効しPRが持続していたが,4カ所で肝転移の再燃を認めるようになったため肝部分切除および術中radiofrequency ablationを行い良好な結果を得た.再発GISTに対する治療はイマチニブが第1選択だが,2次耐性例に対しては治療法の選択に苦慮することが多いが,積極的な外科的介入の有用性が示唆された.
  • 小池 直人, 趙 明浩, 有田 誠司, 大河内 信弘
    2008 年 69 巻 11 号 p. 2956-2959
    発行日: 2008年
    公開日: 2009/05/12
    ジャーナル フリー
    症例は66歳,男性.慢性C型肝炎加療中,alphafetoprotein(以下,AFPと略記)が4,870ng/mlと高値を示したため,腹部超音波検査,CT施行したところ,肝外側区と脾門部との間に径約7cmの腫瘍を認めた.腹部血管造影CTで,腫瘍は肝動脈からの血流を受け強く濃染され,肝外側区より肝外性に発育する肝細胞癌と診断した.肝左葉に微小肝癌を疑わせる濃染像が認められたため,肝左葉切除の方針とした.開腹所見では線維組織からなる茎によって肝外側区に連なる有茎型の腫瘍として認められた.小腸間膜に米粒大の腫瘤を多数認めその一部を切除した.術後AFPは100ng/ml台まで低下した.病理組織学的に腫瘍は中分化型の肝細胞癌であった.腸間膜の腫瘤は原発同様の組織型で腹膜播種と診断された.術後補助化学療法としてUFTの内服を行った.術後3年半,AFPの漸増があるものの,腹膜播種による症状出現せず社会復帰している.
  • 松尾 彰宣, 倉本 正文, 蔵元 一崇, 池嶋 聡, 馬場 秀夫, 島田 信也
    2008 年 69 巻 11 号 p. 2960-2964
    発行日: 2008年
    公開日: 2009/05/12
    ジャーナル フリー
    症例は80歳,男性.75歳時の早期胃癌術後,外来にて経過観察中であったが,術後1年2カ月目に肝S6にφ3cmの腫瘍を認め,肝後区域切除術を施行した.病理組織ならびにHBV-DNA検索を行いB型肝炎を背景とする肝細胞癌(HCC)と診断した.肝切除後1年8カ月目に肝S8に再発,その7カ月後には肝S4に再発し,ともにRFAを施行した.その2カ月後からは両葉多発性の再発を認め,2年間で計9回のTACEを施行した.最終的には病巣はS3,S5,S8の計3個となったが,栄養血管が不明瞭となりTACEも中止した.そこで,UFT 450mg/dayの経口投与を開始したところ,内服8カ月目にPIVKA-IIは正常化し,CTでも病巣は完全に消失した.現在CR後4カ月であるが無再発生存中である.少数ながらUFTが著効する報告もあり,積極的治療が困難となったHCC症例に対しては,UFT内服を考慮すべきであると考えられた.
  • 濱洲 晋哉, 堀井 進一, 佐藤 文平, 薄井 裕治
    2008 年 69 巻 11 号 p. 2965-2969
    発行日: 2008年
    公開日: 2009/05/12
    ジャーナル フリー
    症例は70歳,男性.食欲低下と体重減少が出現し,近医で肝内胆管拡張を指摘され紹介となった.腹部CT検査で肝左葉グリソン鞘沿いに数珠状の低吸収領域を認め,腹部MRCP検査では門脈臍部を中心に嚢胞性病変が存在し,肝内胆管拡張との鑑別が困難であった.内視鏡的逆行性胆管造影では左肝内胆管に透瞭像を認め,その末梢に壁不整と狭窄が存在した.嚢胞性病変と胆管との交通はなかった.腹部血管造影検査で門脈左枝が造影されず,左肝動脈末梢にcorkscrew様変化があり,左葉限局の門脈圧上昇と肝萎縮が示唆された.明らかな腫瘍性病変は認めなかったが肝内胆管癌を否定できず,肝左葉切除術を施行した.切除標本で左葉は肝硬変に陥り,グリソン鞘周囲にperibiliary cystが多発していた.臨床ではperibiliary cystsは稀であり経過観察が基本だが,悪性疾患との鑑別が困難な場合など手術が選択される場合も存在し,診断方法の向上が望まれる.
  • 水井 慎一郎, 長田 真二, 菅野 昭宏, 福井 貴巳, 桑原 生秀, 猿渡 寛子, 横井 豊治
    2008 年 69 巻 11 号 p. 2970-2974
    発行日: 2008年
    公開日: 2009/05/12
    ジャーナル フリー
    症例は70歳,男性.食欲低下を主訴に2006年12月に犬山中央病院内科を受診.血液検査上は軽度の肝機能障害を認めたのみで腫瘍マーカーは正常,HCV抗体・HBs抗原は陰性.腹部CT検査にて最大径16cm大で肝右葉の大部分を占める内部造影効果が不均一な腫瘍が下大静脈への直接浸潤しており進行肝内胆管癌と診断した.局所進展は高度であるが遠隔転移がないため肝動注化学療法(Leucovorin;30mg+cisplatin;10mg+5-fluorouracil;250mgの5日間持続投与を4周連続し4週休薬)を計7コース外来にて施行した.腫瘍径が6cm(partial response)に縮小したことを確認し外科的切除を計画した.腫瘍周囲の境界が不明瞭のため,肝拡大右葉切除を選択し,病理学的にも治癒切除とした.肝内胆管癌の手術を中心とした化学療法につき文献的考察を加え報告する.
  • 塚原 哲夫, 磯谷 正敏, 原田 徹, 金岡 祐次, 亀井 桂太郎, 前田 敦行
    2008 年 69 巻 11 号 p. 2975-2979
    発行日: 2008年
    公開日: 2009/05/12
    ジャーナル フリー
    1999年から2006年までに術後難治性膵液瘻に対する手術療法を4例経験した.年齢は26歳~71歳,平均52歳で,男性2例,女性2例.原疾患は胆管細胞癌,胆嚢癌,上行結腸癌術後肝十二指腸間膜再発,急性壊死性膵炎で,施行された手術は肝膵頭十二指腸切除術兼肝十二指腸間膜一括切除術(HLPD)2例,右半結腸切除兼膵頭十二指腸切除術(PD)後の挙上空腸切除・再吻合1例,necrosectomy1例であった.再手術時期は膵液瘻の発生から4カ月~7カ月,平均5カ月.再手術法は膵管挙上空腸再吻合術,Roux-en-Y法による膵管空腸吻合術,Roux-en-Y法による瘻孔空腸吻合術を行った.手術時間は146分~257分,平均180分で,出血量は100ml~350ml,平均216ml.術後21日~28日,平均24日で合併症なく退院し,膵液瘻の再発は認めていない.術後難治性膵液瘻に対する手術療法は合併症や再発もなく安全であることから,症例を選んで施行すべきである.
  • 大場 大, 伊井 徹, 鰺坂 秀之, 松木 伸夫, 三輪 晃一
    2008 年 69 巻 11 号 p. 2980-2985
    発行日: 2008年
    公開日: 2009/05/12
    ジャーナル フリー
    症例は85歳,女性.主訴は腹部膨満,食欲不振.心窩部に手拳大,弾性硬な腫瘤を触知.白血球増多,CRPの上昇あり.腫瘍マーカーの上昇は認めなかった.USでは膵体尾部に無エコー成分を含む内部不均一な最大径15cm大の腫瘤を認め,CT,MRIでは内部に広範な出血壊死を示す辺縁不整な充実性腫瘤であった.入院後1カ月間で腫瘤は20cmを越えるまで急速に増大.臨床像と画像所見より,出血壊死を伴う悪性度の高い膵悪性腫瘍が疑われた.腫瘍による圧排,狭窄症状が著しく,手術治療を強く希望されたため,膵体尾部切除,脾摘,胃全摘,拡大結腸右半切除にて腫瘍を切除し得た.腫瘍重量は3,800g,最大径は24cm.出血壊死が著明な肉腫様肉眼像を呈し,病理組織学的所見により退形成性膵管癌(紡錘細胞型)の診断を得た.術後早期に多発肝転移,癌性腹膜炎が出現し,術後2カ月目に死亡した.
  • 大城 直人, 川上 浩司, 砂川 宏樹, 當山 鉄男, 稲嶺 進, 座波 久光
    2008 年 69 巻 11 号 p. 2986-2989
    発行日: 2008年
    公開日: 2009/05/12
    ジャーナル フリー
    症例は46歳,男性.1992年5月,十二指腸乳頭部癌に対して膵頭十二指腸切除術を施行した.術後の病理診断ではpapillary adenocarcinomaでstageIであった.術後9年目の2002年1月14日心窩部痛を主訴に来院,胃内視鏡検査にて胃体部後壁に隆起性病変を認め,生検にてpapillary adenocarcinomaと診断された.さらに腹部CTでは残膵に腫瘤陰影を認め,胃体部後壁への浸潤が認められ,残膵から発生した膵癌と診断した.手術は膵空腸吻合部を含む残膵,残胃全摘術,脾摘出術,横行結腸部分切除術を施行した.病理組織学的には前回と極めて類似した形態のpapillary adenocarcinomaと診断された.本症例は十二指腸乳頭部癌に対する膵頭十二指腸切除術後9年を経過して残膵に発生した極めて稀な残膵癌切除症例であり,組織学的にも類似性があり,転移再発癌との鑑別も興味深いので報告する.
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