日本臨床外科学会雑誌
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症例
骨形成性大腸癌の1例
小川 久貴福長 洋介藤原 有史谷村 愼哉東野 正幸
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キーワード: 大腸癌, 骨形成, 予後
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2009 年 70 巻 1 号 p. 153-157

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抄録

77歳,女性.平成16年2月から便秘,血便が出現したため注腸検査,大腸内視鏡検査にてS状結腸癌を指摘された.精査の後,平成16年5月,S状結腸切除およびD3郭清術を施行された.摘出標本を観察すると,5型S状結腸癌であり腫瘍内に骨組織を認めた.リンパ節には明らかな骨化は認めなかった.
骨形成性大腸癌に関してDukesによると,頻度が約0.4%以下の非常に稀な癌で,臨床症状が長く脈管侵襲が少ない比較的低悪性度な癌といわれている1).しかし,今自験例を含む本邦報告例18例のreviewでは必ずしも低悪性度な癌ではないことが示唆された.骨形成性大腸癌の臨床学的な特徴および骨形成の過程について,若干の文献的考察を加えて報告する.

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© 2009 日本臨床外科学会
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