日本臨床外科学会雑誌
Online ISSN : 1882-5133
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70 巻 , 1 号
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原著
  • 座波 久光, 嘉数 修, 卸川 智文, 間山 泰晃, 渡邊 未来子, 比嘉 幹子
    2009 年 70 巻 1 号 p. 1-5
    発行日: 2009年
    公開日: 2009/07/05
    ジャーナル フリー
    はじめに:外科レジデントが執刀したセンチネルリンパ節生検(以下,SLNBと略記)について,その安全性と妥当性を検証したので報告する.方法:外科レジデントが執刀した,RI・色素併用法によるSLNB併用乳癌手術症例50例を対象(Study群)とし,外科指導医が執刀した60例をControl群としてretrospectiveな比較検討を行った.結果:Study群とControl群の同定率はそれぞれ98.0%と100%で,両群とも良好であった.両群間の合併症発生率は差がなく,SLNBに関連する合併症はseromaのみで,その発生率はStudy群4例(8.0%),Control群3例(5.0%)であった.考察:RI・色素併用法によるSLNBはレジデント執刀でも安全で,高い同定率が確保できることが確認できた.
  • 渡邉 健次, 加藤 岳人, 鈴木 正臣, 柴田 佳久, 吉原 基, 長澤 圭一, 小西 由樹子, 久野 博文, 田口 泰郎, 尾上 俊介, ...
    2009 年 70 巻 1 号 p. 6-11
    発行日: 2009年
    公開日: 2009/07/05
    ジャーナル フリー
    当院で手術した胃癌穿孔症例の臨床病理学所見から,胃癌穿孔例の外科治療の問題点について検討した.1988年1月から2005年3月までに当院で手術した胃癌2,120例のうち穿孔を伴っていたのは20例であった.男女比は13:7,平均年齢は70歳(39~87).術前に胃癌穿孔と診断できたのは12例であった.切除率は90%(18例)であった.穿孔領域はL11例,M7例,U2例であった.切除例の癌の肉眼型は,Borrmann2型と3型が16例を占め,組織型は低分化腺癌11例,中分化腺癌4例,印環細胞癌3例で,高分化腺癌はなかった.短期成績は,19例は軽快退院したが手術死亡が1例みられた.長期成績では,治癒度A,B症例の5年生存率は36%,治療度Cは全例1年以内に死亡した.胃癌穿孔例の手術成績は不良であるが,治癒度A,Bでは長期生存の期待できる症例もあり,全身状態が許す限り根治的手術を施行するべきである.
  • 原 真也, 谷田 信行, 大西 一久, 藤島 則明, 浜口 伸正, 開發 展之
    2009 年 70 巻 1 号 p. 12-17
    発行日: 2009年
    公開日: 2009/07/05
    ジャーナル フリー
    1999年1月から2006年9月までの期間に高知赤十字病院で手術を施行した小腸穿孔症例40例(外傷性20例,非外傷性20例)を対象とし,年齢,性別,原因,臨床症状,画像所見,術前診断,発症から手術までの時間,術式,穿孔部位,術後合併症,転帰について外傷性と非外傷性に分けて臨床的に比較検討した.平均年齢は外傷性で53.3歳,非外傷性で69.9歳であり,いずれも男性に多かった.腹膜刺激症状を認めた症例は外傷性で55.0%,非外傷性で60.0%であり,胸腹部単純X線検査あるいは腹部CT検査で腹腔内遊離ガスを認めた症例は外傷性で70.0%,非外傷性で52.6%であった.術前に小腸穿孔と診断しえた症例は1例もなかった.外傷性穿孔では全例救命しえたが,非外傷性穿孔では治療開始が遅延する傾向にあり,敗血症性ショックに陥った2例で救命しえなかった.腹痛などの腹部症状を主訴とし診断に難渋する症例では,小腸穿孔も念頭に入院後の厳重な経過観察を行うとともに,経時的検査を繰り返し施行し手術のタイミングを逸しないことが重要と考える.
  • 清地 秀典, 梶原 伸介, 岩川 和秀, 岡田 憲三, 山本 幸司, 佐藤 創, 飯森 俊介, 三好 麻衣子, 天田 美智子
    2009 年 70 巻 1 号 p. 18-22
    発行日: 2009年
    公開日: 2009/07/05
    ジャーナル フリー
    目的:胃癌の肝転移は局所療法の対象となることは少なく,明確な肝切除適応基準も定まっていない.当科において施行された胃癌肝転移切除症例を集積し検討を加え,予後規定因子を検討し,患者選択基準を考察した.方法:1990年1月より2006年12月までに当科にて胃癌肝転移に対して肝切除が施行された12例を対象とした.予後規定因子として年齢,性別,原発巣の深達度,リンパ節転移度,分化度,転移巣の転移時期,転移個数を検討した.結果:胃癌肝転移切除全症例の累積5年生存率は27.8%で,2例の10年以上の長期無再発生存例が得られた.予後規定因子で有意差が認められたのは転移巣個数(3個以上,3個未満)のみであった.結論:胃癌肝転移は切除対象となる症例は少ないが,症例を選択すれば良好な成績,長期生存が得られる場合がある.転移個数が少ない症例は良い適応であり,症例によっては肝切除を考慮すべきと思われた.
  • 梅邑 晃, 遠藤 義洋, 鈴木 雄, 渋谷 香織, 梅邑 明子, 谷村 武宏, 北村 道彦
    2009 年 70 巻 1 号 p. 23-27
    発行日: 2009年
    公開日: 2009/07/05
    ジャーナル フリー
    目的:外科重症患者の人工呼吸管理の現状や質を論じる報告は少ない.当科の人工呼吸管理症例を分析し,人工呼吸器関連肺炎(VAP)発生率を算出したので報告する.
    方法:対象は2004年11月から2007年7月までの全身麻酔手術症例1,393例のうち手術直後から人工呼吸管理を要した69例で,症例を待機手術群と緊急手術群に分け,人工呼吸器装着率,在院死亡率,気管切開率,離脱率,再装着率,人工呼吸期間に及ぼす因子,VAP発生率について検討した.
    結果:全例の人工呼吸器装着率は5.0%,人工呼吸期間は10日間,在院死亡率は10%,気管切開率は23%,術後早期に死亡した2例を除いた離脱率は100%,再装着率は16%であった.群間の比較では装着率でのみ有意差を認め,両群共に70歳以上,手術直後のPaO2/F1O2比が300以下で人工呼吸期間は長期化した.VAP発生率は4.3/1,000レスピレーター病日であった.
    結論:緊急手術で人工呼吸管理を要する頻度が高く,高齢者や術直後の酸素化低下例で人工呼吸管理期間が長期化した.VAP発生率や離脱率を併せると当科の人工呼吸管理は適切であると結論付けられた.
症例
  • 井上 聖也, 吉田 卓弘, 三好 孝典, 山井 礼道, 滝沢 宏光, 丹黒 章
    2009 年 70 巻 1 号 p. 28-33
    発行日: 2009年
    公開日: 2009/07/05
    ジャーナル フリー
    症例は,77歳,男性.右頸部腫瘤を主訴に近医を受診した.甲状腺癌の再発と診断され,当科に紹介受診となった.頸部CTでは最大径10cmの腫瘍が認められ,気道や食道の圧排が認められた.PET-CTでは,右頸部から縦隔にかけて著明なFDGの集積があり,肺にも多発性転移巣を認めた.血液検査でサイログロブリン値は著明な高値(18,000μg/ml)であった.針生検の結果は分化型乳頭癌であったが,気道閉塞の危険性回避のため,残存甲状腺摘出,腫瘍減量切除,気管切開術を施行し,内照射療法を行う方針とした.術後,残存した頸部腫瘤,縦隔リンパ節,肺転移に対して2回の131I内照射療法(150mCi/回)を施行したところ,2回目の内照射終了11カ月後のCTでは,著明な腫瘍の縮小(縮小率75%)およびQOLの改善を認めた.巨大な切除不能甲状腺乳頭癌の局所再発に対しても,腫瘍減量手術ならびに内照射療法は有効な治療法であると考えられた.
  • 中房 祐司, 甲斐 敬太, 矢ケ部 知美, 小池 健太, 宮崎 耕治
    2009 年 70 巻 1 号 p. 34-38
    発行日: 2009年
    公開日: 2009/07/05
    ジャーナル フリー
    われわれは神経内分泌細胞腫瘍の特徴を示す嚢胞内乳癌を経験した.症例は91歳,女性.右乳房腫瘤を主訴に来院した.右乳房CD領域に2.5cmの表面平滑,境界明瞭の可動性良好な腫瘤を触知し,超音波検査では境界明瞭な嚢胞性病変で内部に隔壁および壁在結節を認めた.嚢胞内腫瘍が疑われて腫瘍広範囲切除を行った.肉眼的には最大径2.0cmの嚢胞性腫瘤で,この中に0.5cmの小嚢胞を2個認め,小嚢胞内に乳頭状に増殖する充実病変が存在した.組織学的に乳頭状病変は硝子化した間質と血管組織が介在しており,浸潤所見や周囲乳管内への進展は認めなかった.腫瘍細胞は包体が広く,好酸性顆粒を有し,核グレード2,ER陽性,PgR陽性,HER-2陰性であった.大半の腫瘍細胞が神経内分泌細胞マーカーであるシナプトフィジン,クロモグラニン陽性であった.本腫瘍は嚢胞内乳頭癌の形態を示したNE-DCISと考えられたため報告する.
  • 高橋 宏樹, 横山 吾郎, 井上 有香, 桂 正和, 楠元 英次, 藤井 輝彦
    2009 年 70 巻 1 号 p. 39-43
    発行日: 2009年
    公開日: 2009/07/05
    ジャーナル フリー
    症例は52歳,女性.26,38歳時に右良性葉状腫瘍の診断で腫瘍摘出術を施行された.平成7年頃より右乳房の腫瘤に気付いていたが,平成19年1月より急激に増大したため当院を受診した.右乳房に20cm大の腫瘤を認め,葉状腫瘍の再発と診断し右乳房部分切除術を施行した.病理診断は境界病変であった.術後3週間頃より創部周囲の発赤,腫脹を認め術後早期の再発と診断し,右胸筋温存乳房切除術,右腋窩リンパ節郭清,右前胸部植皮術を施行した.術後病理組織診断は悪性葉状腫瘍であり,右腋窩リンパ節への転移も認められた.退院時の胸部CTで多発肺転移と右腋窩リンパ節腫大が認められたため,化学療法を強く患者に勧めたが拒否し,外来で経過観察となった.退院後2週間で植皮部に局所再発を認め,さらなる増大傾向を伴うようになり徐々に全身状態悪化が悪化し,同年7月に死亡した.
  • 椎名 伸充, 荒井 学, 三階 貴史, 榊原 雅裕, 長嶋 健, 宮崎 勝
    2009 年 70 巻 1 号 p. 44-49
    発行日: 2009年
    公開日: 2009/07/05
    ジャーナル フリー
    症例は60代女性.左乳房腫瘤の急速な増大を自覚し来院した.左乳房CE領域に直上の皮膚が菲薄化し赤紫色を呈する約10cmの腫瘤を認めた.MMGでは左乳房の大部分を占める,高濃度,境界明瞭な腫瘤像を認めた.USでは境界明瞭平滑な球形のcystic lesionを認め,内部に乳頭状に隆起する2つのisoechoic lesionを認めた.造影CT,造影MRIでは,周囲との境界が明瞭な約10cmの嚢胞と内腔に突出する結節像を認めたが悪性を疑わせる造影効果を認めなかった.穿刺吸引細胞診を2回行ったが明らかな悪性所見を認めず,嚢胞内乳頭腫の疑いにて腫瘤摘出術を施行した.病理診断は被膜組織内への浸潤を伴うIntracystic solid-papillary carcinomaであった.放射線治療を追加し,内分泌療法にて経過観察中である.嚢胞内乳頭腫との鑑別が困難であった巨大嚢胞内乳癌を経験したので,文献的考察を加えて報告した.
  • 丸野 要, 福田 直人, 杉山 保幸, 水口 國雄
    2009 年 70 巻 1 号 p. 50-56
    発行日: 2009年
    公開日: 2009/07/05
    ジャーナル フリー
    症例は50歳,女性.乳癌検診にて右乳腺腫瘤を指摘され,平成19年4月当科外来を受診した.右乳腺のC領域に6×5cmの硬で表面不整境界不明瞭な腫瘤を触知し,USでは同部位にlow echoicで境界不明瞭な腫瘤像を,MMGでは境界不明瞭な濃度上昇域を認めた.針生検にて腺房細胞癌と診断された.5月に右胸筋温存乳房切除術・右腋窩リンパ節郭清を施行し,術後に化学療法と放射線照射を施行した.病理組織検査所見ではt3,f(+),ly0,v0,n0(0/6),stageIIBであり,細胞質が淡明あるいは好塩基性~好酸性顆粒状の細胞が腺房構造を示す腺房細胞癌の組織像を呈した.免疫染色ではEMA,cytokeratin,S-100,α1-antichymotrypsin,lactalbumin,lysozyme,GCDFP-15,amylaseが陽性,ER,PgR,HER-2は陰性であった.腺房細胞癌は,1996年のRoncaroliの報告以来12例が報告されている.右乳腺原発の腺房細胞癌の1例を報告する.
  • 南 裕太, 関戸 仁, 新野 史, 牧野 洋知, 松田 悟郎, 高橋 俊毅
    2009 年 70 巻 1 号 p. 57-61
    発行日: 2009年
    公開日: 2009/07/05
    ジャーナル フリー
    症例は73歳,女性.肋骨骨折で2006年2月入院.入院中に上腹部痛を自覚し,内視鏡施行したが異常なし.退院後より下痢出現.食思不振も伴い3月外来受診.腹部全体に圧痛を認め,血液検査で高度の炎症反応を認め緊急入院.入院4日後,突然吐血し,意識消失,血圧触知不能,ショック状態となり,直ちに緊急内視鏡施行.胃内は新鮮血が充満しており,多発性アフタ性潰瘍を認めたが出血源は不明.内視鏡施行中,輸血するも循環動態保てず,内視鏡による止血は困難と判断し緊急手術となった.術中所見では胃の漿膜面に異常を認めず,胃全摘術施行.切除標本では胃の全域に多発する浅い潰瘍を認めた.病理所見は潰瘍辺縁,粘膜固有層に小型肉芽腫が散在し,H. pylori陽性であった.サルコイドーシス,Crohn病,結核や梅毒などの感染症,腫瘍による肉芽腫は否定的であり,特発性肉芽腫性胃炎と診断した.術後経過は良好であった.
  • 大塚 隆生, 佐藤 清治, 北島 吉彦, 中房 祐司, 宮崎 耕治
    2009 年 70 巻 1 号 p. 62-65
    発行日: 2009年
    公開日: 2009/07/05
    ジャーナル フリー
    症例は58歳,男性.胃上部2型進行癌に対し胃全摘術,D2リンパ節郭清,脾・膵尾部合併切除術を行った.病理組織学的に低分化型腺癌で,深達度SS,2群リンパ節に転移を認め,T2,N2,H0,P0,CY0,M0,Stage IIIB,根治度Bであった.5年前より狭心症と糖尿病のため内服治療中であったがいずれもコントロール良好であった.術前の腫瘍マーカーCEA値は3.3ng/mLと正常範囲内であった.術後2カ月目よりCEA値の増加および空腹時血糖値の上昇を認めた.術後4カ月目にはCEA 12.0ng/mL,空腹時血糖232mg/dL,HbA1c 8.6となった.画像評価を行うも明らかな再発病変を同定できなかったため,無治療のまま厳重に経過観察をすることとした.同時に食事・内服療法による糖尿病の治療も開始した.以後血糖コントロールの安定とともに腫瘍マーカー値は漸減していった.術後4年3カ月の現在まで無再発生存中である.
  • 宮本 茂樹, 秦 史壮, 池田 慎一郎, 齋藤 慶太, 伊東 竜哉, 平田 公一
    2009 年 70 巻 1 号 p. 66-72
    発行日: 2009年
    公開日: 2009/07/05
    ジャーナル フリー
    症例は54歳,男性.主訴は心窩部不快感.諸検査にて食道・胃接合部に中心を置く食道浸潤を伴う3型進行胃癌で肝臓への直接浸潤と第3群リンパ節転移が疑われたことから,術前化学療法を治療法として提示したが,患者の希望により手術を選択した.開腹所見では,胃癌は肝外側区域に直接浸潤を認め,胃全摘,肝外側区域合併切除,D3郭清(膵体尾部・脾合併切除を伴う)を施行した.また,胆嚢結石を有していたため胆嚢摘出術を施行した.病理組織学的に胃癌は低分化型腺癌で,胆嚢壁間質内に腺癌を認めた.染色の相同性より胃癌の胆嚢転移と診断した.総合所見として,T4(SI;liver),N3,H0,P0,CY0,M1(OTH),StageIVであった.胃癌の胆嚢転移は検索しうるかぎり,これまで5例の報告があり,いずれも予後が不良であった.自験例は補助化学療法としてTS-1®投与を施行し,術後3年無再発生存中であるので報告する.
  • 権 英寿, 塚本 忠司, 中島 隆善, 豊川 晃弘, 濱辺 豊, 石田 武
    2009 年 70 巻 1 号 p. 73-78
    発行日: 2009年
    公開日: 2009/07/05
    ジャーナル フリー
    患者は併存疾患としてアルコール性肝硬変および糖尿病を持つ52歳男性.2007年4月腹痛を主訴に当院救急外来を受診.腹部単純X線検査にて左横隔膜下に腹腔内遊離ガス像を認めたため,消化管穿孔の診断のもと同日緊急開腹術を施行.術中,十二指腸球部前壁の穿孔を確認し,同部の縫合閉鎖および大網充填を行った.術後抗生剤治療を継続するも感染徴候および血液検査所見の改善はみられなかった.術8日後に腹腔内膿瘍形成を疑い腹部造影CT検査を施行.その結果,膵周囲,左腎周囲,さらに左腸腰筋に沿った後腹膜腔に膿瘍形成を認めたため,経皮的に左前腎傍腔にドレナージカテーテルを挿入した.カテーテルからのドレナージは良好であったが,感染徴候の改善はみられなかった.そこで術16日後に後腹膜アプローチで左腎周囲および左腸腰筋前面の膿瘍腔にドレーンを留置した.術後ドレナージは良好で,感染徴候および血液検査所見も改善し,術32日後に軽快退院となった.
  • 野尻 和典, 三浦 靖彦, 小松 茂治, 高橋 利通
    2009 年 70 巻 1 号 p. 79-82
    発行日: 2009年
    公開日: 2009/07/05
    ジャーナル フリー
    症例は80歳,男性.スクリーニングの上部消化管内視鏡検査で十二指腸癌と診断された.乳頭部にかかる進展の為,膵頭十二指腸切除術を施行した.病理検査では高分化腺癌で,病変は大部分が十二指腸粘膜上に広がり,その一部が乳頭部を越え下部胆管に進展し,乳頭上の隆起性病変となっていた.深達度はm,脈管浸潤も見られない早期十二指腸癌であった.胆管内進展を示した早期十二指腸癌の症例は稀であり報告する.
  • 波多江 亮, 佐藤 裕二, 村田 祐二郎, 坂東 道哉, 服部 正一, 洲之内 廣紀
    2009 年 70 巻 1 号 p. 83-88
    発行日: 2009年
    公開日: 2009/07/05
    ジャーナル フリー
    胃切除術後30年後Braun吻合部に発生した逆行性腸重積症を経験した.症例は49歳,男性.腹痛,嘔吐を主訴に受診.30年前に胃切除の既往あり,臍左側に手拳大腫瘤を触知した.検査所見でWBC 15,500/μlと炎症所見,腹部単純X線で上腹部に拡張した小腸ガス,CTでtarget-like signを認めた.空腸上部の腸重積症と診断し,緊急開腹手術を施行した.用手的に重積部を整復した結果,幽門側胃切除,結腸前に逆蠕動性Billroth-II法再建(B-II),Braun吻合付加の術後であり,Braun吻合40cm肛門側が重積の嵌入部で輪出脚が逆行性にBraun吻合を越えて輸入脚まで重積したことが判明した.空腸を30cm切除し端端吻合した.胃切除後重積の本邦例をJMEDPlusで検索し,自験例を含め過去20年で58例得られた.再建術式別では,B-II法が35例,R-Y法14例,Billroth-I1例,その他8例であった.その中で幽門側切除,Braun吻合付加B-IIは17例であった.
  • 星野 伸晃, 長谷川 洋, 坂本 英至, 小松 俊一郎, 久留宮 康浩, 法水 信治
    2009 年 70 巻 1 号 p. 89-92
    発行日: 2009年
    公開日: 2009/07/05
    ジャーナル フリー
    症例は91歳,女性.平成19年1月,下腹部痛を主訴に当院救急外来を受診した.腹部CT検査にて肝表面に限局した腹水とfree air,小腸浮腫と小腸内高吸収域を認めた.既往に卵巣癌放射線治療,PTP誤飲による開腹手術があった.放射線性腸炎や異物誤飲による穿孔性腹膜炎が強く疑われ緊急手術の適応と考えた.しかし,家族の同意が得られず局所麻酔下に経皮的ドレナージを行うに止めた.全身状態の改善した後,腹部MDCT検査によりPTPによる小腸穿孔と診断し待期的に手術を施行した.術後経過は良好で,独歩で退院した.PTP再誤飲による小腸再穿孔という極めて稀な症例を経験した.
  • 後藤 裕信, 池永 雅一, 安井 昌義, 三嶋 秀行, 中森 正二, 辻仲 利政
    2009 年 70 巻 1 号 p. 93-97
    発行日: 2009年
    公開日: 2009/07/05
    ジャーナル フリー
    症例は72歳,女性.主訴は腹痛.子宮体癌にて放射線治療の既往あり.放射線治療後はイレウスを繰り返していたが,今回腹痛にて受診し,腹部CT検査で回腸末端に楕円形の異物を認め,同部位より口側の腸管拡張を認め,イレウス管による減圧の後手術を施行した.回腸末端部の回腸が壁肥厚と白色変化をきたしており放射線性腸炎の像と考えられた.回腸末端から5cmに球状の異物が嵌頓しており,回盲部切除を施行した.異物は2.5cm×1.5cm大の梅の種子であった.本症例は放射線晩期障害による狭窄部分に梅の種子が嵌頓したものであった.放射線腸炎による腸管狭窄を伴う場合は,梅の種子のように比較的小型の異物でもイレウスの原因となりうるため食事習慣などへの注意喚起が必要と考えられた.
  • 安田 香織, 松井 康司, 種村 廣巳, 大下 裕夫, 井深 奏司, 山田 鉄也
    2009 年 70 巻 1 号 p. 98-103
    発行日: 2009年
    公開日: 2009/07/05
    ジャーナル フリー
    症例は47歳,女性.近医より鎮痙薬にても改善しない突然の下腹部痛と下痢・嘔吐を主訴に,当院紹介受診となった.腹部造影CT検査にてwhirl signならびに,壁浮腫と造影効果減弱を有する盲端の管状構造物を認めたため,Meckel憩室の捻転による絞扼性イレウスを疑い,緊急手術を施行した.回腸末端より約70cm口側にMeckel憩室を認め,その頂部から発生した索状物が,回腸末端から約10cm口側の小腸間膜に癒着していた.
    Meckel憩室はその索状物によって,基部にて720度捻転していた.索状物を切離し,Meckel憩室の楔状切除を施行した.術後病理組織学的検査にて,その索状物はmesodiverticular vascular bandと判明した.今回われわれは腹部CT検査が術前診断に有用であったMeckel憩室の絞扼性イレウスの1例を経験したので,若干の文献的考察も加えて報告する.
  • 安江 英晴, 羽生 信義, 湯田 匡美, 川野 勧, 岩渕 秀一, 阿部 光文
    2009 年 70 巻 1 号 p. 104-107
    発行日: 2009年
    公開日: 2009/07/05
    ジャーナル フリー
    症例は75歳,男性.原発性肺癌IV期の患者.腰椎(L1)転移に対して放射線療法(30Gy)後に,ゲフィチニブ内服による治療を行っていた.その経過中に,イレウスを発症し入院.保存的加療にて改善しないため,イレウス管を挿入した.その後のイレウス管造影検査,CT検査にて,小腸の完全閉塞が見られた.腹部手術歴はなく,突発性小腸閉塞の診断で開腹手術を施行した.腹腔内に明らかな転移の所見はなく,Treitz靱帯より約100cmの空腸に完全狭窄所見のみが認められたため,小腸部分切除術を施行した.切除検体は,病理学的にも悪性所見は認められなかった.今回,非常に稀な症例を経験したので報告する.
  • 藤野 啓一, 山崎 民大, 島崎 英幸
    2009 年 70 巻 1 号 p. 108-112
    発行日: 2009年
    公開日: 2009/07/05
    ジャーナル フリー
    症例は29歳,男性.主訴は右下腹部痛.腹部MDCTにて骨盤腔に嚢胞状腫瘤と造影効果のある腫瘤像を認めた.嚢胞状腫瘤は矢状断画像では小腸腸間膜対側との連続性を示した.腫瘍を伴ったMeckel憩室炎を疑い緊急手術を施行した.回盲部より約150cmの回腸腸間膜対側に嚢状に突出する鶏卵大の腫瘤を認め,小開腹下に小腸部分切除を施行した.病理組織学的に嚢胞状腫瘤は真性憩室であり異所性胃粘膜を認めた.憩室の先端部には3×2.8cmの充実性腫瘍を認めた.免疫組織学的に,腫瘍はα-smooth muscle actinとdesminに陽性でc-kit陰性であった.憩室炎と平滑筋腫を伴うMeckel憩室と診断した.術後経過は良好で,第8病日退院した.Meckel憩室炎の診断に有用であったCT所見を認め,憩室内に平滑筋腫を伴っていた稀な症例を経験したため報告する.
  • 亀井 奈津子, 陣内 祐二, 小林 慎二郎, 田中 圭一, 田中 一郎, 大坪 毅人
    2009 年 70 巻 1 号 p. 113-115
    発行日: 2009年
    公開日: 2009/07/05
    ジャーナル フリー
    症例は90歳,男性.朝方に嘔気,嘔吐が出現し,症状が増悪したため当院救命センターに救急搬送された.腹部所見で下腹部痛がみられた.腹部CT上,小腸遠位部に腸重積が認められ,小腸の虚血が疑われたため緊急手術となった.開腹して腹腔内を検索すると腸重積は解除されており,回盲部から口側約200cmの部位に約2cm大の粘膜下腫瘤を認めた.近傍の小腸の軽度肥厚が見られ,重積部位と考えられた.重積部位以外にMeckel憩室などの異常所見はなかった.腫瘤を含め楔状に小腸部分切除を施行した.病理検査にて腫瘤は平滑筋に取り囲まれており,膵外分泌腺や内分泌腺は認められないHeinrich分類III型の異所性膵が考えられた.術後は合併症なく第14病日目に退院した.
  • 斉藤 誠, 植田 宏治, 平井 俊一
    2009 年 70 巻 1 号 p. 116-119
    発行日: 2009年
    公開日: 2009/07/05
    ジャーナル フリー
    症例は74歳,女性.検診時の腹部超音波検査で,右下腹部の腫瘤像と腸重積を疑う所見を認めた.口側腸管の拡張がなく,無症状であったため精査目的で入院.大腸内視鏡検査でBauhin弁より小腸粘膜とともに露出している腫瘤を認めたが,確定診断には至らなかった.腫瘍の質的診断の必要性,また腸閉塞や紋扼の危険性もあるため手術の適応と判断し,より侵襲の少ない腹腔鏡補助下に手術を行った.腹腔鏡にて重積像を確認した後,小切開を加え重積部を体外に引き出して整復し,腫瘍部の回腸を切除した.病理組織学的にinflammatory fibroid polyp(以下IFP)と診断した.消化管のIFPは胃に多く,小腸のものは稀であり,その多くが腸重積にて発症し緊急手術の対象となる.自験例では無症状であったため,腹腔鏡補助下に低侵襲に待機手術を行うことが可能であった.術後3年経過したが,再発は認めていない.文献的考察を加えて報告する.
  • 米山 公康, 大山 廉平
    2009 年 70 巻 1 号 p. 120-123
    発行日: 2009年
    公開日: 2009/07/05
    ジャーナル フリー
    症例は66歳,男性.下血を主訴に来院した.緊急で施行した上部,下部内視鏡ともに出血源を認めなかった.腹部造影CTスキャンにおいて近位空腸に4cm大の腫瘤を認めた.さらに腹部血管造影では上部空腸に腫瘍濃染像を認め,小腸GISTを疑った.精査中も下血を繰り返し,血圧の低下を認めたため小腸腫瘍からの出血と診断し,緊急手術を行った.開腹所見では,Treitz靱帯より10cmの腸間膜対側に壁外性に発育する5cm大の腫瘍を認め,10cmの小腸部分切除術を施行した.病理組織検査では小血管を混じる紡錘形細胞の増生,細胞密度の増加を認め,免疫染色よりGISTと確診された.下血で発症する小腸GISTの診断には難渋することが多い.今回われわれは過去の報告例を集計し,画像による存在および局在診断を中心として考察を加えたので報告する.
  • 横田 満, 朴 泰範, 吉田 泰夫, 伊藤 雅, 小笠原 敬三
    2009 年 70 巻 1 号 p. 124-129
    発行日: 2009年
    公開日: 2009/07/05
    ジャーナル フリー
    症例は51歳,男性.夜間に腹痛を自覚し翌朝受診した.受診時,腹部症状は軽快し,血液検査所見でも軽度の炎症反応を認めるのみであった.腹部CTを撮影すると上行結腸内に腫瘤を先進とした腸重積所見を認めた.まず精査と整復目的に大腸内視鏡を施行した.上行結腸内にうっ血した隆起性病変を認め,送気しながら口側に移動させたが完全な整復はできず緊急手術を行った.開腹すると回盲部が上行結腸内に陥入する所見を認め,用手的に整復した.重積を解除すると虫垂根部に腫瘤性病変を認め,悪性病変の可能性を考慮し回盲部切除術(D3郭清)を施行した.病理組織検査では,悪性所見は認められず,腫瘤性病変と考えていた部位は虫垂内腔の反転によるものであり虫垂重積症と診断した.虫垂重積症は比較的稀な疾患で本症例のように特発性のものもある.今回,特発性虫垂重積の1例を経験したので文献的考察を加えて報告する.
  • 山田 貴允, 藤井 正一, 佐藤 勉, 永野 靖彦, 今田 敏夫, 國崎 主税
    2009 年 70 巻 1 号 p. 130-133
    発行日: 2009年
    公開日: 2009/07/05
    ジャーナル フリー
    76歳,男性.平成19年4月大腸ポリープの経過観察目的に大腸内視鏡検査を施行し,回盲弁上の隆起性病変を指摘.回盲弁をはさんで回腸側2cmと盲腸側1cmに及ぶ長径3.5cmの0-IIa病変で,盲腸では集簇する顆粒を認めた.病理組織学的所見はTubular adenoma,high gradeであった.大きさと部位から内視鏡的切除は困難と判断し,腹腔鏡補助下回盲部切除術を施行.切除標本の肉眼形態は0-IIa,LST-Gで,盲腸から回盲弁にかけて存在し,回腸にも及んでいた.組織学的所見では,大きさは,盲腸に13mm,回腸に4mmの範囲に及ぶ21×42mmであり,35%に高分化腺癌を認めるcarcinoma in adenomaであった.深達度pM,ly0,v0,pN0,cH0,sP0,sM0,fStage0であった.腫瘍はアルシアン青のpH1.0とpH2.5の双方で染色され,スルフォムチンの存在する盲腸粘膜が発生母地であると考えられた.回盲弁上の粘膜内癌の報告は稀であり,若干の文献的考察を加えて報告する.
  • 齋藤 智明, 榎本 俊行, 斉田 芳久, 中村 寧, 高林 一浩, 長尾 二郎
    2009 年 70 巻 1 号 p. 134-136
    発行日: 2009年
    公開日: 2009/07/05
    ジャーナル フリー
    宿便性大腸穿孔は長期臥床の高齢者・精神疾患があり抗精神薬を服用している症例に多く経験される疾患として知られている.今回われわれは健常な日常生活を送っていながらも発症した10歳代若年者の宿便性S状結腸穿孔を経験したので文献的考察を含め報告する.
  • 高久 秀哉, 鈴木 俊繁, 長倉 成憲, 佐藤 大輔
    2009 年 70 巻 1 号 p. 137-140
    発行日: 2009年
    公開日: 2009/07/05
    ジャーナル フリー
    大量の粘液分泌のため,脱水,電解質異常,腎機能異常などを呈するelectrolyte depletion syndrome(以下EDS)をきたした直腸絨毛腫瘍の1例を経験したので報告する.症例は83歳,女性.2007年8月,食欲不振,全身倦怠感を主訴に当院に入院となった.多量の透明な粘液便が頻回にみられ,脱水,低カリウム血症(K:2.7mEq/l)より血圧低下,ショックをきたした.直腸指診で,下部直腸に全周性の柔らかい腫瘍を触知した.骨盤部CTで,直腸内に多量の液体貯留を認めた.下部消化管内視鏡検査で,多量の粘液を産生する全周性の直腸絨毛腫瘍を認めた.EDSと診断し,補液を行いつつ,準緊急的に腹会陰式直腸切断術を施行した.大きさ185×100×45mmの絨毛腫瘍であり,病理組織学的にはvillous adenomaであった.手術後,脱水,電解質異常,ショック状態は速やかに改善し,術後16病日に退院となった.術後1年めの現在,再発を認めていない.
  • 藤田 博崇, 竹内 聖, 近藤 昭宏, 岡田 節雄
    2009 年 70 巻 1 号 p. 141-145
    発行日: 2009年
    公開日: 2009/07/05
    ジャーナル フリー
    患者は61歳,男性.約2年前に進行胃癌に対しD2郭清を伴う胃全摘術を施行された.組織型は印環細胞癌を含む低分化腺癌で,pT2(ss),pN0,H0,P0,M0,StageIB,であった.今回,大腸内視鏡検査にて上行結腸および下行結腸,S状結腸の5カ所にIIc様病変を認めた.組織生検で,すべての病変から印環細胞癌を含む低分化腺癌を認めたため,大腸原発印環細胞癌または胃癌の大腸転移と診断し手術を施行した.術後摘出標本の免疫組織学的検査では,AE1/AE3,cytokeratin(以下,CK)7は陽性で,CK20は陰性で胃原発癌腫に特有の所見であった.さらに,原発巣と考えられる胃癌標本を再検討すると両者の組織型が一致しており,胃癌の結腸転移と診断した.
  • 井手 佳美, 平松 和洋, 吉原 基, 鈴村 潔, 加藤 岳人
    2009 年 70 巻 1 号 p. 146-152
    発行日: 2009年
    公開日: 2009/07/05
    ジャーナル フリー
    症例は61歳,女性.平成8年に上行結腸癌で右半結腸切除術を受けた.術後病理組織学的診断は高分化型管状腺癌,深達度ss,リンパ節転移は陰性であった.術後6年間経過観察され無再発であったが,10年目に健診で軽度貧血および腹部臍右側に手拳大の可動性腫瘤を指摘された.腹部CT検査で十二指腸水平脚腹側に6cm大の腫瘤を認め,内視鏡検査で十二指腸水平部に陥凹性病変を認めた.上行結腸癌のリンパ節再発を疑い,平成18年1月膵頭十二指腸切除術,回腸・結腸・上腸間膜静脈合併切除を施行した.切除標本の肉眼的検査所見で,腫瘍は7cm大で十二指腸,膵臓,結腸に囲まれて存在し十二指腸内腔に潰瘍を形成していた.病理組織学的検査所見では,腫瘍は中分化腺癌で,その局在は十二指腸壁外に主体があり,周囲臓器へ浸潤していた.10年前の結腸癌再発と診断した.大腸癌再発が切除後5年以上経過して発生し切除されることは稀である.
  • 小川 久貴, 福長 洋介, 藤原 有史, 谷村 愼哉, 東野 正幸
    2009 年 70 巻 1 号 p. 153-157
    発行日: 2009年
    公開日: 2009/07/05
    ジャーナル フリー
    77歳,女性.平成16年2月から便秘,血便が出現したため注腸検査,大腸内視鏡検査にてS状結腸癌を指摘された.精査の後,平成16年5月,S状結腸切除およびD3郭清術を施行された.摘出標本を観察すると,5型S状結腸癌であり腫瘍内に骨組織を認めた.リンパ節には明らかな骨化は認めなかった.
    骨形成性大腸癌に関してDukesによると,頻度が約0.4%以下の非常に稀な癌で,臨床症状が長く脈管侵襲が少ない比較的低悪性度な癌といわれている1).しかし,今自験例を含む本邦報告例18例のreviewでは必ずしも低悪性度な癌ではないことが示唆された.骨形成性大腸癌の臨床学的な特徴および骨形成の過程について,若干の文献的考察を加えて報告する.
  • 北村 大介, 前多 力, 関 英一郎, 権田 厚文
    2009 年 70 巻 1 号 p. 158-162
    発行日: 2009年
    公開日: 2009/07/05
    ジャーナル フリー
    今回われわれは腸重積症にて発見された若年者大腸癌の1例を経験したので,文献的考察を加え報告する.症例は29歳,男性.腹痛と粘血便あり外来受診した.CT検査施行した結果,下行結腸に腸重積を認めた.高圧浣腸にて整復を行ったところ,腫瘤を先進部とした腸重積であった.大腸内視鏡検査では2/3周性の1型大腸癌を認めscopeはかろうじて通過したが内腔の狭小化を認めた.生検の結果moderately differentiated adenocarcinomaの診断にて腹腔鏡補助下結腸左半切除術を施行した.切除標本の病理結果は,SS INFβ ly1 v0 N0であった.自験例では大腸癌家族歴はなかったが,若年発症のためHNPCCの可能性もあり,MSI (microsatellite instability)解析を行ったが陰性であった.
    若年者においても腸重積を認めた場合,大腸癌の存在を念頭に置くべきと考えられた.
  • 三重野 浩朗, 木下 平, 小西 大, 中郡 聡夫, 高橋 進一郎, 後藤田 直人
    2009 年 70 巻 1 号 p. 163-169
    発行日: 2009年
    公開日: 2009/07/05
    ジャーナル フリー
    症例は64歳,男性.2002年に直腸癌にて腹会陰式直腸切断術を施行され,その後3回の肺転移巣切除を受けている.経過観察中,腹部CTにて膵頭部に約2cm大の腫瘤影を認めたため2008年2月当科紹介受診.各種画像検査を行い原発性膵管癌と転移性膵腫瘍が疑われたが確定診断困難であり,3月に手術施行.病変は膵頭部に限局しており亜全胃温存膵頭十二指腸切除を施行した.膵病巣は既往の直腸癌と肺転移巣に類似した中分化腺癌の像であり,免疫染色によるCK7陰性/CK20陽性の結果から大腸癌膵転移と診断した.
    大腸癌の膵転移は稀であり,本邦での異時性転移切除例は検索しえた限り本症例を含め25例に過ぎない.若干の文献的考察を加え報告する.
  • 西村 健志, 鈴木 信親, 三浦 泰朗, 片山 原子, 平田 勝, 田中 潔
    2009 年 70 巻 1 号 p. 170-173
    発行日: 2009年
    公開日: 2009/07/05
    ジャーナル フリー
    症例は62歳,男性.胆嚢癌術後肝再発例に対し,放射線治療に加えて化学療法(S-1+シスプラチン)を行った.3カ月後には腫瘍マーカーは正常化し,画像上のCR(complete response)が得られ,術後5年4カ月の現在,再発を認めていない.十二指腸浸潤StageIVa進行胆嚢癌の根治術後に肝再発をきたしたが,放射線治療およびS-1,シスプラチンによる化学療法が奏効し,長期生存が得られた1例を経験したため,若干の文献的考察を加えて報告する.
  • 吉村 文博, 朽網 留美子, 村上 直孝, 二又 泰彦, 孝冨士 喜久生, 山口 倫
    2009 年 70 巻 1 号 p. 174-178
    発行日: 2009年
    公開日: 2009/07/05
    ジャーナル フリー
    症例は71歳,男性.上腹部痛を主訴に当院受診となった.腹部CT上,胆嚢捻転症が疑われたが確定診断には至らず,PTGBD(経皮的経肝的胆嚢穿刺ドレナージ)を施行した.胆嚢からの排液は暗赤色血性であったため胆嚢捻転症を強く疑った.その後,腹部症状は消失し,採血上の炎症所見も改善したため入院7日目に手術を行った.胆嚢捻転症は急性胆嚢炎との鑑別が困難で以前は術前にPTGBDも行われていたが,その正診率向上とともに解剖学的要素から禁忌とも言われ,PTGBDの施行率も低下を認める.自験例はGrossII型の完全型であったがPTGBD挿入にて症状改善を認め,待機的に手術が可能であった.PTGBDが診断に有用であった症例や,同処置のみで保存的に改善した症例も認められる.診断が困難で,手術リスクの高い高齢者ではPTGBDを行ったうえで全身状態評価,改善の後に手術も可能であると考えられた.
  • 播本 憲史, 足立 英輔, 藤 也寸志, 池田 貯, 坂口 善久, 岡村 健
    2009 年 70 巻 1 号 p. 179-183
    発行日: 2009年
    公開日: 2009/07/05
    ジャーナル フリー
    黄色肉芽腫性胆嚢炎(Xanthogranulomatous cholecystits,以下XC)は比較的稀な胆嚢炎の一亜型であり,胆嚢壁に肉芽腫を形成し他臓器への浸潤傾向を示すため,胆嚢癌との鑑別が困難で,しばしば拡大手術を施行されることも多い.今回,周囲臓器に浸潤を伴う胆嚢癌と診断し拡大手術を施行したXCを経験したので報告する.症例は80歳,男性.心窩部痛,体重減少を主訴に入院した.精査にて肝浸潤,胆管浸潤,横行結腸浸潤を認め,さらにCA19-9が上昇しており,胆嚢癌を疑い,尾状葉合併拡大肝左葉切除,胆管切除,胆嚢摘出,横行結腸部分切除,2群リンパ節郭清を行った.最終病理診断ではXCであった.術前術中の鑑別は困難であるが,鑑別の一つとして念頭にいれる必要が有る.
  • 山田 恭子, 永野 靖彦, 國崎 主税, 池 秀之, 今田 敏夫, 嶋田 紘
    2009 年 70 巻 1 号 p. 184-189
    発行日: 2009年
    公開日: 2009/07/05
    ジャーナル フリー
    症例は64歳,男性.食欲不振を主訴に来院した.閉塞性黄疸を伴い,腹部CTで膵頭部領域の腫瘤,超音波内視鏡検査で下部胆管の腫瘤,経皮経管胆道造影で下部胆管の閉塞を認めた.下部胆管癌(T2,N0,M0,StageII)と診断し,幽門輪温存膵頭十二指腸切除術,D2郭清術を施行した.腫瘍は径2cmの結節膨張型で,一部,膵実質への浸潤を認めた.病理組織学的には,異型性の強い核を有する小円形腫瘍細胞が充実性に増殖し,一部,高分化腺癌が混在していた.免疫組織化学染色では,N-CAM(CD56)およびsynaptophysinが陽性であった.以上より,adenoendocrine cell carcinoma,pT3,pN0,pM0,fStageIIIと診断した.術後6カ月目に肝転移を認め,12カ月死亡した.本邦における胆管原発内分泌細胞癌の報告は本症例を含め25例のみと,稀であった.
  • 榎本 好恭, 小暮 敦史, 酒井 梨香, 塚本 茂樹, 中島 芳道, 平山 克
    2009 年 70 巻 1 号 p. 190-193
    発行日: 2009年
    公開日: 2009/07/05
    ジャーナル フリー
    症例は79歳,女性.急性胆嚢炎治療後に黄疸を発症,脈管浸潤を伴った上部胆管癌による閉塞性黄疸と診断されたが,患者は79歳と比較的高齢で,自分の病状も理解できない程度の認知症もあったことから切除不能と判断した.切除不能悪性胆道閉塞に対しては,近年ステンティングによる内瘻化が行われることが多いが,さまざまな理由が重なりステンティングが困難な症例に遭遇することもある.本症例は経皮経肝ルートでの内瘻化は失敗に終わり,内視鏡的胆道ドレナージは患者の協力が得られず施行しなかった.家族と相談の結果,QOL向上を目的とした肝内胆管空腸吻合術(Longmire法)を施行した.術後1年4カ月後に肝不全で死亡したが,そのほとんどを自宅にて過ごし良好なQOLが保つことができた.開腹手術による胆汁内瘻化は手術時の侵襲はあるものの,ステンティングに伴うチューブトラブルなどはなく症例によっては患者のQOL向上に寄与するものと考える.
  • 河合 雅彦, 國枝 克行, 長尾 成敏, 加藤 浩樹, 田中 千弘, 松橋 延壽
    2009 年 70 巻 1 号 p. 194-198
    発行日: 2009年
    公開日: 2009/07/05
    ジャーナル フリー
    症例は72歳,女性.主訴は腹部膨満感.膵頭部嚢胞性腫瘍の疑いにて当院消化器科紹介となった.ERCPでは主膵管は嚢胞に圧排されていたが,嚢胞との交通はなかった.腹部US・CTでは膵頭部に12×8cm大の嚢胞性腫瘤を認め,単房性・被膜は一様で内部均一であった.隔壁形成なし.腹部血管造影ではGDAは右へ強く圧排されていたが,encasement(-).以上の所見から悪性所見には乏しいものの以前より増大傾向があり,自覚症状もあることから手術を施行した.膵頭部に十二指腸・総胆管を圧排する薄い被膜を有する嚢胞が存在した.嚢胞内容液は無色透明,漿液性でアミラーゼは低値であった.膵頭部の正常膵組織は薄く引き延ばされており,主膵管も圧排されていると考えられ,十二指腸温存膵頭切除術を施行した.病理組織診断は真性嚢胞であった.術後経過は十二指腸の通過障害が若干認められたが,徐々に改善して術後第29病日全治退院した.
  • 吉福 清二郎, 岸本 浩史, 笹原 孝太郎, 森 周介, 田内 克典
    2009 年 70 巻 1 号 p. 199-203
    発行日: 2009年
    公開日: 2009/07/05
    ジャーナル フリー
    症例は65歳,男性.腎結石の精査目的に施行された腹部CT検査で,胃膵間に腫瘤を指摘され当科紹介となった.画像上,胃体部後壁と膵体部に接する径45mmの内部に隔壁を有さない単房性腫瘤を認め,超音波内視鏡検査では一部胃壁との連続性を認め,胃壁外性に進展した胃GISTまたは膵嚢胞性疾患と術前診断し手術を施行した.手術所見では,胃噴門部背側,膵体部頭~背側に浸潤する5cm大の腫瘍を認め,悪性を否定できないため膵体尾部切除術,脾臓摘出術,胃部分切除術を行い一塊に摘出した.術後病理所見では,単房性の嚢胞内腔は淡黄色泥状の角化物で満たされ,組織学的には内腔面は重層扁平上皮で裏打ちされ,壁には明瞭な濾胞を含むリンパ組織を認めたため,膵リンパ上皮性嚢胞と診断した.今回われわれは胃粘膜下腫瘍との鑑別を要した膵リンパ上皮嚢胞の1例を経験したので文献的考察を加えて報告する.
  • 吉田 勲, 高瀬 信尚, 河村 貴, 石川 泰, 光辻 理顕, 岡村 明治
    2009 年 70 巻 1 号 p. 204-208
    発行日: 2009年
    公開日: 2009/07/05
    ジャーナル フリー
    症例は47歳,男性.心窩部痛を主訴に当院受診,血液検査にて閉塞性黄疸,腹部CT検査にて膵体尾部に境界明瞭な充実性腫瘤を認めた.内視鏡的逆行性膵管造影検査では膵頭部主膵管に腫瘍栓を疑う陰影欠損を認め,十二指腸に腫瘤が露出し同部からの生検は中分化型管状腺癌であった.膵全摘術にて腫瘍を摘出した.腫瘍細胞は,好酸性の胞体と腺房構造を有し,PAS陽性で,免疫組織学的検査でAmylase,α-1-antitrypsinが陽性であった.十二指腸乳頭直下まで膵管内に乳頭状発育を呈していたことから,管内乳頭状発育型膵腺房細胞癌と診断した.本邦においては自験例を含め11例の管内乳頭状発育型膵腺房細胞癌の報告例がある.
  • 佐藤 征二郎, 蛭川 浩史, 多田 哲也
    2009 年 70 巻 1 号 p. 209-212
    発行日: 2009年
    公開日: 2009/07/05
    ジャーナル フリー
    Behçet病での動脈瘤形成,動脈閉塞,静脈血栓閉塞といった血管病変を示す血管Behçetの頻度は20%程度と言われている.Behçet病に合併した動脈瘤は胸腹部大動脈などの報告は多いが,内臓動脈である脾動脈例は極めて稀であり報告する.
    症例は33歳,男性.不全型Behçet病と診断されプレドニゾロン10mg/日内服中であった.左側腹部痛を主訴に救急外来受診.血圧90mmHg,Hb 8.8g/dl,CTで脾動脈の著明な拡張と脾周囲の液体貯留を認め脾動脈瘤破裂による出血性ショックと診断し緊急手術を施行.手術所見では,脾門部の約6cmの動脈瘤とこれに連続した脾の2cmの裂傷を認め膵体尾部脾切除術を行った.術後経過は良好で第14病日に退院した.切除標本の検索では,脾動脈瘤が脾内に穿破したことによる脾破裂と診断された.現在外来通院中であるが,左上腕動脈に動脈瘤が出現し経過観察している.
  • 横山 貴司, 石川 博文, 坂本 千尋, 藤井 久男, 渡辺 明彦
    2009 年 70 巻 1 号 p. 213-218
    発行日: 2009年
    公開日: 2009/07/05
    ジャーナル フリー
    Crohn病は全消化管に生じる難治性の炎症性腸疾患である.特に瘻孔を合併した症例では難治性で,QOLを著しく損なうものである.今回,われわれは約10年間にわたる腸管膀胱皮膚瘻に対して手術を施行し,良好な経過をたどった症例を経験したので報告する.患者は32歳,男性.1995年12月下腹部痛を主訴に発症し,手術が施行されCrohn病と診断された.1997年4月には腸管膀胱瘻の再発を認め,手術を勧めるも拒否された.2004年8月にレミケード(TNF-α抗体)を投与したが改善せず,在宅中心静脈栄養療法や麻薬による疼痛管理が必要となった.2006年5月に同意が得られ再手術を施行し,回腸・S状結腸・上部直腸・膀胱の一部を瘻孔とともに摘出し尿管皮膚瘻を造設した.現在,食事療法,内服加療,レミケード治療により良好な経過をたどっている.
  • 木原 直貴, 木下 隆, 菅 敬治, 鱒渕 真介, 森田 眞照
    2009 年 70 巻 1 号 p. 219-223
    発行日: 2009年
    公開日: 2009/07/05
    ジャーナル フリー
    直腸癌と鑑別を要した前立腺癌直腸浸潤の1例を報告する.症例は82歳,男性.3週間前より排便困難を訴え近医受診,肛門診で直腸腫瘤を指摘され7月8日当院へ紹介された.直腸鏡で観察したところ粘膜は発赤浮腫を呈し,内腔の全周性狭窄を認めた.生検では炎症細胞を伴うのみであった.腹部CT上,前立腺は不整形で境界不明瞭であり,それに連続する直腸壁の全周にわたる肥厚が認められた.PSAは118ng/mlと高値であったため,前立腺癌による直腸浸潤が疑われた.経直腸的超音波ガイド下前立腺生検の結果,低分化型腺癌像を呈し,PSA免疫染色は陽性であったので前立腺癌の直腸浸潤と確定診断した.8月3日より内分泌療法を開始,9月4日には直腸狭窄は軽快傾向を示し,PSAも5.19ng/mlまで著明に低下した.治療開始から1年経過したが再狭窄はなく排便コントロールは良好である.
  • 橋口 和義, 神谷 尚彦, 松山 悟, 中房 祐司, 佐藤 敏美, 宮崎 耕治
    2009 年 70 巻 1 号 p. 224-227
    発行日: 2009年
    公開日: 2009/07/05
    ジャーナル フリー
    症例は34歳,女性.2004年10月,腰痛出現し,USにて,後腹膜腫瘤を疑われた.腹部CTで大動脈分岐部腹側に内部が脂肪密度の径27×26mmの嚢胞性腫瘤を認め,腹部血管造影ではavascular massの所見.腹部MRIで腸間膜内に存在し腸間膜由来と考えられる径34×28mmの周囲との境界明瞭,辺縁に被膜有し,内部はT1,T2ともに高信号の病変を認め,腸間膜奇形腫と診断された.当科紹介され,腫瘤摘出術施行した.病理診断はBenign mesenteric cystic teratomaであった.
    奇形腫は腸間膜を含め消化管に関連する部位からの発生は極めて稀であり,術前に良悪性を確定することは困難である.手術的に全摘できれば臨床的予後は良好であり,治療は外科的切除が第一選択と考えられる.
  • 平下 禎二郎, 野口 剛, 田中 栄一, 安田 一弘, 白石 憲男, 北野 正剛
    2009 年 70 巻 1 号 p. 228-232
    発行日: 2009年
    公開日: 2009/07/05
    ジャーナル フリー
    症例は63歳,女性.2005年2月から腹部膨満感があり,4月当科を受診した.腹部CT検査で腹水と大網周囲の腫瘍を認め,腹水細胞診にてadenocarcinomaの診断であった.消化管および卵巣や子宮に異常を認めず,腫瘍マーカーはCA125が高値であった.2005年4月手術を施行し,卵巣に異常は認めず,腫瘍を含めて大網を切除した.病理組織学的検査で漿液性乳頭腺癌を認め,腹膜原発漿液性乳頭腺癌と診断した.術後から化学療法としてpaclitaxel+carboplatin(TJ療法)を施行した.2006年3月腹腔内の腫瘍の増大を認め,脾臓摘出および胃部分切除を伴う腫瘍摘出術を施行した.その後も化学療法としてTJ療法を継続して行った.その後次第に腫瘍は増大し,2008年2月腸閉塞,小腸穿孔を認め,発症から3年1カ月で死亡した.
  • 森 周介, 笹原 孝太郎, 田内 克典
    2009 年 70 巻 1 号 p. 233-238
    発行日: 2009年
    公開日: 2009/07/05
    ジャーナル フリー
    症例は80歳,女性.内科の定期診察で腹部腫瘤を触知した.CTおよびMRIでは,結腸肝彎曲部外側に長径60mm大の不整形軟部腫瘤を認め,FDG-PETで同部に高集積像を認めた.手術所見では,結腸肝彎曲部漿膜面に腫瘤を認め,大網に播種結節を認めた.術中組織検査にて,漿液性乳頭腺癌に類似する組織像との診断で,結腸右半切除術を施行,播種結節を取り切るように大網を切除した.右付属器は肉眼的に異常を認めなかったが,原発巣の可能性を考慮し切除した.S状結腸の強い癒着のため左付属器の観察は断念した.肉眼所見では,径70mm×65mm,割面は白色充実性分葉状の腫瘤であった.組織学的検査所見では,病変の中心は腹膜脂肪組織内にあり,結腸固有筋層まで浸潤する漿液性乳頭腺癌であった.右付属器は卵管采付近に5mmの癌巣を認めたが,大きさと広がりから考えて,腹膜原発漿液性乳頭腺癌と診断した.
  • 石川 原, 土師 誠二, 中居 卓也, 竹山 宜典, 大柳 治正
    2009 年 70 巻 1 号 p. 239-242
    発行日: 2009年
    公開日: 2009/07/05
    ジャーナル フリー
    症例は37歳,女性.肝下面に18×10×10cmの石灰化を伴う巨大な単房性嚢胞を認めた.術前に確定診断に至らず,切除後の組織検査で後腹膜気管支嚢胞と診断された.気管支嚢胞は胎生期に気管支原基が異所性組織に迷入することにより発生する先天性の疾患である.後腹膜に発生することは非常に稀であり,文献的考察を加えて報告する.
  • 佐藤 裕英, 渡辺 剛史, 森川 充洋, 林 泰生, 飯田 茂穂
    2009 年 70 巻 1 号 p. 243-248
    発行日: 2009年
    公開日: 2009/07/05
    ジャーナル フリー
    症例は65歳,男性.検診の際に上腹部腫瘤を指摘され来院.CTおよびMRIで左上腹部に約19cm大の腫瘤を認めた.内部は大部分が脂肪組織様の濃度を示し,一部に石灰化成分や軟部組織を有していた.腫瘤により胃は左側・尾側に圧排されており,膵臓は尾側・背側に圧排を受けていたが,明らかな浸潤所見は認められなかった.膵上縁の後腹膜から発生した成熟奇形腫と診断し手術を実施した.腫瘤は膵上縁の後腹膜を首座として膵体部と強固に癒着しており,膵体尾部の合併切除を必要とした.病理学的所見では成熟奇形腫で悪性所見は認められなかった.なお,明らかな膵への浸潤所見は認められなかった.奇形腫が成人男性の後腹膜に発生した例は非常に少ない.過去の報告をみると,成熟型といえども剥離困難な例も少なくなく,良・悪性の鑑別が困難な場合もあり,術前には周囲臓器の合併切除を念頭に置いて準備をすすめるべきであると考えられた.
  • 西條 文人, 土井 孝志, 竹村 真一, 中村 啓之, 鈴木 秀幸, 黒田 房邦
    2009 年 70 巻 1 号 p. 249-252
    発行日: 2009年
    公開日: 2009/07/05
    ジャーナル フリー
    症例は45歳,男性.既往歴は特になし.主訴は左陰嚢部腫大と疼痛.近医受診後,当院紹介となった.腹部CT検査にて左側腹部に直径約20cmの腫瘤を認め,消化管間葉系腫瘍,後腹膜腫瘍などを疑い手術を施行した.S状結腸と一塊になった22×14cmの腫瘍を認め,腹膜播種を疑う白色結節を多数認めた.腫瘍とS状結腸と一塊に摘出した.腫瘍割面は隔壁形成を伴う淡黄白色分葉状であった.病理検査にて壊死を伴う後腹膜原発myxofibrosarcoma(以下,MFS)でS状結腸に浸潤していたことが判明した.白色結節にも同様の所見を得た.術後,陰嚢部痛は軽快し経過良好で第8病日に退院した.退院後,姑息的化学療法としてドキソルビシンを使用したが,術後19カ月に局所再発,癌性腹膜炎で死亡した.MFSは四肢や体幹に好発するが,今回後腹膜に発生した非常に稀なMFSを経験したので報告する.
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