2009 年 70 巻 12 号 p. 3584-3588
成人に発症した原発性小腸軸捻転症を3例経験し,いずれも捻転解除のみで治癒しえたので報告する.症例1は87歳,男性.腹痛を主訴に受診.腹部CTで小腸の捻転像を認め緊急手術施行.手術所見では小腸は拡張し上腸間膜動脈を軸として時計回りに360度捻転していた.症例2は74歳,女性.嘔気,下痢,食事摂取不良による衰弱を主訴に受診.腹部CTにて小腸の捻転像を認め,緊急手術施行.症例3は28歳,女性.下腹部痛,下痢を主訴に受診.発症前にナッツの過食があった.腹部CTでwhirl signを認め,緊急手術施行.3例とも腸管血流は良好であり捻転解除のみ施行した.小腸軸捻転症の発症機序として,症例3ではナッツの過食が誘因と思われた.また,症状は腹痛,嘔吐,下痢など非特異的であり注意が必要である.特徴的なCT像より早期診断が可能であり,早期治療によって腸管切除を回避し良好な予後が期待できると思われた.