日本臨床外科学会雑誌
Online ISSN : 1882-5133
Print ISSN : 1345-2843
ISSN-L : 1345-2843
原著
がん終末期における在宅での緩和ケアの意義と問題点
村上 望角谷 慎一村杉 桂子牧野 奈々棚田 安子前田 一也吉田 貢一
著者情報
ジャーナル フリー

2010 年 71 巻 1 号 p. 1-8

詳細
抄録

がん終末期においての,療養場所の選択について検討した.PPI(Palliative Prognostic Index)による予後予測でのグループ化を行い,がん終末期患者における在宅移行症例9例と院内での療養・看取りとなった20例について,緩和ケアチーム介入から看取りまでの期間,在宅移行までの期間,在宅療養期間の比較検討を行った.また在宅での看取り6例に対する訪問看護ステーションへのアンケートも用いて分析した.緩和ケアチーム介入から看取りまでの期間からみると,在宅移行症例と院内症例において有意差は認めなかった.在宅移行後の患者の6名中5名は満足していたが,家族の半数は不安も大きいとの返答であった.この結果から,今回の解析では在宅移行時期は適切であったと考えられたが,摂食状況の悪化や家族ケアの不十分さを認め,今後の課題と思われた.

著者関連情報
© 2010 日本臨床外科学会
前の記事 次の記事
feedback
Top