日本臨床外科学会雑誌
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症例
Direct Kugel法により修復した両側膀胱ヘルニアの1例
藤解 邦生今村 祐司中光 篤志香山 茂平上神 慎之介桒田 亜希
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2010 年 71 巻 9 号 p. 2429-2432

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抄録
症例は76歳,男性.下腹部の違和感を主訴に当院内科受診し,両側鼠径部膨隆を指摘され,両側鼠径ヘルニアの診断にて当科紹介受診となった.腹部超音波にて両側膀胱ヘルニアを疑い,立位膀胱造影にて膀胱の脱出を確認した.以上より,両側膀胱ヘルニアと診断し,Direct Kugel法による根治術を施行した.ヘルニア門は両側とも恥骨結節の頭側に認め,II-1型であった.膀胱壁の血流障害は認めず,容易に還納された.両側から恥骨後面の剥離を十分に行い,恥骨と膀胱との間にDirect Kugel Patch®を挿入し修復した.術後膀胱造影で,脱出の消失を確認した.術中の膀胱損傷を防ぐために,術前診断は重要であり,腹部超音波や膀胱造影は診断に有用と思われた.膀胱損傷をきたしにくい形状,恥骨と膀胱の間に展開できる点,術後に偏移しにくい点,鼠径床が広く補強できる点で,Direct Kugel法は本症に有効と思われた.
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© 2010 日本臨床外科学会
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