日本臨床外科学会雑誌
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症例
穿孔性腹膜炎で発症し,集学的治療により完全寛解が得られた腸管症型T細胞リンパ腫の1例
山村 和生石榑 清石田 直子林 直美黒田 博文福山 隆一
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2011 年 72 巻 3 号 p. 812-817

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抄録

症例は61歳,男性.腹痛を主訴に当院救急外来を受診した.左側腹部に圧痛と軽度の筋性防御を認め,血液検査上,炎症反応の上昇を認めた.腹部CT上,小腸壁の肥厚と腹腔内遊離ガス像を認め,小腸腫瘍の穿孔による腹膜炎を疑い,緊急開腹手術を施行した.Treitz靱帯から約30cmの空腸が約10cmにわたって著明に肥厚し,穿孔を伴っていた.空腸部分切除を行った.切除標本の病理組織像では全層性に中大型のリンパ球の浸潤を認め,免疫染色の結果,腸管症型T細胞リンパ腫と診断された.術後に化学療法と幹細胞移植を行い,完全寛解を得た.本症は予後不良であることで知られ,特に穿孔例の予後は不良であるが,早期の外科治療を含めた集学的治療により長期生存を期待しうるものと思われた.

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© 2011 日本臨床外科学会
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