日本臨床外科学会雑誌
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症例
空腸憩室が原因と思われた90歳小腸軸捻転症の1例
里吉 梨香小棚木 均吉楽 拓哉岩崎 渉大内 慎一郎
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キーワード: 小腸軸捻転症, 空腸憩室
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2011 年 72 巻 7 号 p. 1753-1757

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抄録

小腸軸捻転症は比較的まれな疾患であり,今回,空腸憩室が原因と考えられた1例を経験した.症例は90歳,女性.上腹部痛を自覚し,数日後上腹部痛が増強したため来院した.腹部造影CTでは上腸間膜動脈を中心としたwhirl signを認め,小腸軸捻転症と診断し同日緊急手術を行った.手術所見では,小腸は全体が上腸間膜動脈を中心として反時計回りに720度捻転していた.腸管壊死はなく用手的に軸捻転を整復した.この際,Treitz靱帯より30cm肛門側の空腸の腸間膜対側に憩室を認め,その位置的関連から,軸捻転の原因と考えられた.このため憩室基部を楔形に切除し縫合閉鎖した.原因不明の腸閉塞症例では小腸軸捻転症も念頭に置き精査を行い,術中憩室を認めた場合には憩室の切除を行って,軸捻転の再発を防止すべきと考えられた.

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© 2011 日本臨床外科学会
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