日本臨床麻酔学会誌
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日本臨床麻酔学会第30回大会 教育講演
専門医から学ぶ不整脈の臨床 Brugada症候群の最近の考え方(麻酔薬との関連を含めて)
鎌倉 史郎
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2011 年 31 巻 5 号 p. 771-778

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抄録

  Brugada症候群は若年~中年男性が夜間に心室細動(VF)を引き起こして突然死する遺伝性不整脈疾患で,これまでに計7種の遺伝子変異が同定されている.Brugada症候群の主な発生機転は再分極異常と考えられていたが,最近では脱分極異常の重要性が認識されつつある.実際,Brugada症候群では伝導遅延をもたらす抗不整脈薬(Naチャネル遮断薬)で著明なST上昇やVFが生じ,また心筋のNa,Ca電流の低下をもたらす麻酔薬や発熱で突然死が報告されている.日本人のBrugada症候群例の予後には,VFの既往,突然死の家族歴,下側壁誘導での早期再分極症候群の合併などが関連し,これらの指標に基づいて治療ガイドラインが策定されている.

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© 2011 日本臨床麻酔学会
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