日本臨床細胞学会雑誌
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大細胞神経内分泌癌成分を伴う下部胆管原発腺内分泌細胞癌の1例
佐藤 勝明上見 嘉子河村 常作谷本 一夫岡崎 恵子上田 善道勝田 省吾
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2005 年 44 巻 5 号 p. 314-318

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抄録

背景:胆管原発の腺内分泌細胞癌はきわめてまれで, 非常に予後不良な悪性腫瘍である. 今回, われわれは下部 (膵内) 胆管原発の大細胞神経内分泌癌成分を伴った腺内分泌細胞癌を経験したので, 細胞像を中心に報告する.
症例:68歳, 男性.約1ヵ月前より食思不振と全身倦怠感を自覚し, 近医で黄疸を指摘された. CT検査で下部胆管に径2.Ocmの腫瘍を指摘され, さらに内視鏡的逆行性胆管造影時に行われた腫瘤擦過細胞診で腺癌と診断され, 膵頭十二指腸切除術が行われた. 細胞診では, 粗顆粒状のクロマチンと明瞭な核小体を有する空胞状に腫大した核と比較的豊富な細胞質をもつ重積性の強い異型細胞集塊と, 核所見は類似するが核問距離が不均一でより平面的にみえる異型細胞集塊の異なる二種類の集塊を認めた. 組織学的に, 腫瘍は, 大部分が免疫組織化学的にchromograninA陽性の大細胞神経内分泌癌で占められていたが, 表層部には腺腔形成が明瞭な高分化型管状腺癌成分を少量認め, 腺内分泌細胞癌と確定診断された.
結論:下部胆管においても腺癌に加え, 内分泌細胞癌成分を含んだ腫瘍が発生する可能性を認識することは重要である.

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