園芸学会雑誌
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花に対する花店利用者の意識
今西 弘子米沢 富士雄今西 英雄
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1992 年 60 巻 4 号 p. 981-987

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抄録

1.花の消費拡大のための資料を得る目的で,花店利用者を対象に,ふだん花に感じていること,花に求めるもの,購入する花を決定する条件,花の種類ごとの好みについて,質問紙調査法により調べた。またこれを一般消費者を対象とした結果と比較した。
2.ふだん花に感じていることでは,「花は生活に欠かせないものである」と「花には言葉やもの以上に心を動かす何かがある」で高い評定値が得られた。消費者の花の値段そのものへの不満は少なく,むしろ二級品の安価な花の提供をより強く望んでいることが示された.「野の雰囲気を感じさせる花」と「手をかけて作られた見事な花」では前者で評定値が高く,消費者の自然志向の強さが示された。
3.花に求めるものでは,「花の色の美しさ」,「季節感」,「やさしい感じ」を求める度合が大きいのに対し,「はなやかで,はでな感じ」,「豪華で,リッチな感じ」は求める度合が低く,消費者はこれらをほとんど求めていないという結果が示された。
4.購入する花を決定する条件では年齢層間に明らかな違いがあることがわかった。すなわち「第一印象で感覚的に」,「花もち,長く楽しめる」において,若い年齢層では前者を重視し,後者を軽視するのに対し,高年齢層では逆の結果になった。
5.花の種類ごとの好みの度合の比較から,今,消費者が求めている花は季節感にあふれ,野の雰囲気の感じられる,淡い色の,軽い感じの,小型のやさしい花であることがわかった。

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