園芸学会雑誌
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異なった温•湿度の予措処理が数種カンキツ果実の品質に及ぼす影響
邨田 卓夫山脇 和樹
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1992 年 61 巻 1 号 p. 205-210

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抄録

ハッサク, イヨカン'宮内', ナツダイダイ'川野, ネーブルオレンジ'森田', ポンカン'太田'果実を収穫後7日間, 1°C (90%:95%RH), 5°C (93%:98%), 10°C (85%:95%), 15°C (73%:93%), 20°C(64%:92%) および25°C (54%:88%) で予措処理し, その後5°±0.5°C, 88±5%RHの恒温室で貯蔵し, 果実品質を調べた.
1.予措処理中の目減りは, 予期したとおり高温•低湿区で大きく, 低温•高湿区で小さかった. 5°C本貯蔵中の目減りは高温予措区で小さく, 貯蔵終了時の果実の目減りの, 予措条件の違いによる差は小さくなった. 果肉率, 果汁率に対する予措処理の影響は明らかでなかった.
2.果皮色の橙色化に対する予措処理の影響は, 15°C処理区で最も大きく, 10°C区がこれに次ぎ, 1°C, 25°C区では榿色化が極端に抑制された.
3.貯蔵終了時の果実の糖度と酸含量 (クエン酸として) は25°, 20°, 15°C予措区で高く, 1°, 5°C予措区で低い傾向を示した.
以上の結果から, 中晩生カンキツ果実の貯蔵中の品質保持•改善に, 10°~15°Cの予措処理が有効であろうと推論した.

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