園芸学会雑誌
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モモ果実の渋味発生に及ぼす環状はく皮の影響
久保田 尚浩西山 範子島村 和夫
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1993 年 62 巻 1 号 p. 69-73

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抄録

共台とユスラウメ台の'山陽水蜜'および共台の'清水白桃'を供試し,果実発育の第1期と第2期に側枝に環状はく皮を行い,渋味との関連でポリフェノール含量に及ぼす影響をみた.また,成熟期の早晩や核割れの有無とポリフェノール含量との関係についても調査した.環状はく皮は,ユスラウメ台'山陽水蜜'の果実重と共台'清水白桃'の糖含量を除いては,果実の成熟を促進させ,また果実重と糖含量を増加させた.いずれの品種や台木でも,環状はく皮によって果実の全フェノール含量および高分子フェノール含量が増加した.しかし,ポリフェノール含量に及ぼすはく皮時期の影響は明確でなかった.環状はく皮していないユスラウメ台の'山陽水蜜'を除いては,早く成熟した果実ほどポリフェノール含量が多く,特に環状はく皮した場合にその差が顕著であった.環状はく皮によって核割れ果の発生が促されたが,核割れ果と健全果との間にはポリフェノール含量に差がなかった.

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