Journal of Pesticide Science
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スミチオンの土壌中における分解と溶脱について
滝本 善之広田 政隆乾 博宮本 純之
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1976 年 1 巻 2 号 p. 131-143

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抄録

スミチオン〔O, O-ジメチルO-(3-メチル-4-ニトロフェニル) ホスホロチオアート〕のm-メチル基を14Cで標識し, これを10ppmになるよう2種の埴壌土 (宇都宮, 守山), 砂壌土 (交野), 砂土 (武庫) に添加した後, おのおのを25℃で畑, および水田条件に保った. スミチオンの畑条件下での半減期は12~28日であり, 3-マメチル-4-ニトロフェノールおよび14C-炭酸ガスがおもな分解物として同定された. 前者の生成は保存初期にみられ, 添加スミチオンの10~20%に達したのに対し炭酸ガスは宇都宮および武庫土においてとくに発生が著しく約40%に達した. 一方水田条件ではスミチオンの分解はよりすみやかであり, アミノスミチオンがおもな分解物であった. その量は10日間で添加スミチオンの50~60% (宇都宮, 交野土壌) に及ぶ. その他3-メチル-4-ニトロフェノール, デスメチルスミチオン, 3-メチル-4-アミノフェノール, ホルミル-およびアセチル-アミノスミチオンの生成が認められた. また2種の埴壌土からスミチオンを分解する糸状菌 (Fusarium 属), 細菌 (Bacillus 属) が単離された. スミチオンとその分解産物は上記の3種の壌土からは水で溶出されなかったが, 武庫砂土からは水とともに容易に溶脱した.

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© 日本農薬学会
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