Journal of Pesticide Science
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Tetramethrin 立体異性体の妊娠ラットにおける代謝および胎盤透過性
金子 秀雄泉 敏彦植田 泰嘉松尾 昌年宮本 純之
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1984 年 9 巻 2 号 p. 249-258

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抄録

Tetramethrin [3,4,5,6-tetrahydrophthalimidomethyl (1RS, trans/cis) chrysanthemate] の [1R, trans]-, [1RS, trans]-, [1R, cis]-および [1RS, cis]-異性体間の妊娠ラットにおける比較代謝で, 14C排泄率, 14C組織残留量および代謝物は trans 体間で, ほとんど差異が認められなかったものの, cis 体間では [1RS]-体の糞中への14C排泄が約20% [1R]-体より多いという差が認められた. しかし, 代謝物および代謝経路は一致していた. 一方, 1回および5回反復経口投与による胎盤透過性実験では14C-Neopynamin® [(1RS, trans)/(1Rs, cis), 8/2] および14C-Neopynamin Forte® [(1R, trans)/(1R, cis), 8/2] との母獣血, 胎仔, 胎盤および羊水中の14Cレベルはほぼ同様に推移し, ことに5回反復投与ではよく一致していた. また14C組織移行性 (14C組織レベル/14C母獣血レベル) も1回および5回反復投与で胎仔, 胎盤, 羊水ともに両者でよく一致していた. また, 胎仔に移行した代謝物も光学異性である点を除き一致し, その存在比にも顕著な差は認められなかった. 以上のように, Neopynamin® および Neopynamin Forte® はその20%組成物である cis 体間で排泄パターンに若干の差があるものの, その割合が20%と低いため全体としては妊娠ラットにおける胎盤透過性は両者間で有意な差は認められなかった.

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© 日本農薬学会
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