人工臓器
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血液透析回路内における血小板内カルシウムイオン濃度(Ca2+)の変動
高木 信嘉平和 伸仁常田 康夫竹田 和義田村 功一岩本 彩雄山口 聡石井 當男
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1994 年 23 巻 2 号 p. 429-434

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抄録
血液透析回路内における血液透析膜の生体適合性と抗凝固薬の影響とを検討する目的で、血小板内Ca2+とそのトロンビン刺激による上昇を、慢性腎不全血液透析患者32例(男19例、女13例;年齢平均58.8±2.5(SE)歳)で測定し、以下の結果を得た。1)半合成膜による血液透析時に透析器直後の血小板内Ca2+は透析器直前と比べ有意の上昇を示したが、合成膜では変化しなかった。限外濾過時は、両者とも血小板内Ca2+は変化しなかった。2)0.1U/mlのトロンビン刺激による血小板内Ca2+上昇は、半合成膜通過後に有意に増加し、血小板内へのCa2+influxの増加を認めた。3)抗凝固薬注入直後の血小板内Ca2+は有意の低下を示した。4)トロンビン刺激による血小板内Ca2+上昇は、抗凝固薬注入後有意に減少し、mobilizationとinfluxとも減少した。以上より、半合成膜透析器は血小板内Ca2+を上昇させ、生体適合性が良くないと示唆され、また抗凝固薬は血小板内Ca2+を低下させ、トロンビン刺激による血小板内Ca2+を抑制し、回路内で血小板機能を抑制していると考えられた。
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© 一般社団法人 日本人工臓器学会
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