抄録
分布型水文流出モデルの雨量データにレーダー・アメダス解析雨量を使用した流出解析を香川県の中規模河川の綾川(流域面積約137.5 km2)を対象として行った.その結果,アメダス雨量を用いた場合と比較して,河川流量の推定精度が30~60%向上する結果が得られた.つまり,百十数km2スケールの中規模河川の流出解析において,空間高分解能の雨量データを考慮することが有用であることが明らかとなった.この改善理由は,流域内の累積雨量の減少による効果だけでなく,流域平均累積雨量の差異が小さく弱い長雨時では,1)流域平均として同量の雨が降っていても,弱い雨量の差(2~3mm)と雨量の空間分布の相違や,2)累積雨量の空間分布の差が小さくても,雨量がより多いとき(2mm/h 以上)の降雨分布の相違によることが明らかとなった.