抄録
複断面蛇行河川では大洪水時の水位ピーク時に主流が内岸寄りを走り,内岸砂州が洗掘を受けるため内岸砂州上の樹木群の倒伏・流失が想定される.太田川では,河道内樹木の管理を目的とした樹木調査を行い,洪水時の水面形の時間変化を観測する準備を行ってきた.平成17年9月には,計画高水流量相当の洪水が発生し,内岸砂州上の樹木群が倒伏・流失した.本研究では,観測水面形の時間変化を用いた非定常二次元洪水流・河床変動解析により,洪水中の流れと河床変動,樹木倒伏の関係について検討した.そして,流体力と河床洗掘の観点から,砂州河床上の樹木倒伏・破壊の主な要因は河床洗掘であることを明らかにした.最後に,本調査・研究から明らかにされた樹木管理の教訓とその活用を示している.