抄録
筆者らは帯広都市圏を対象として,廃棄物の再(生)利用を考慮した,静学的応用一般均衡(CGE)モデルを開発してきている.しかしながら,都市圏の持続的発展性や環境共生を考えるとき,静学モデルでは不十分であり,モデルの動学化が必要とされる.この観点から本研究では筆者らの既存モデルについて,割引された効用値累積和を最大にする形で動学化を行っている.このモデルを用いて廃棄物の再(生)利用率増加が,帯広都市圏にどのような影響を与えるのかをシミュレーション分析する.シミュレーションにより廃棄物の再(生)利用率を1.2倍引き上げるために必要な再(生)利用財価格の下落幅や,家計による消費と貯蓄の選択パターンなどが動学一般均衡解として得られている.