抄録
本研究は,新経済地理学(NEG)分野で開発された2都市 Core-Periphery (CP)モデルを多都市システムの枠組に拡張し,その均衡解の分岐(少数都市への産業・人口集積)特性を明らかにする.CPモデルに関する従来研究は,その大半が2都市モデルの解析に留まっている.その最大の理由は,多都市モデルで生じる分岐解析の困難さにある.この問題に対し,本稿は,空間割引行列,離散フーリエ変換,円周都市システムの3つの鍵概念を組合わせたアプローチを提示する.そして,その分析法を用いれば,多都市CPモデルにおける分岐の基本的な仕組みは容易に理解できることが示される.さらに,計算分岐理論に基づいた系統的な数値計算により,より詳細な集積・分散パターンも明らかにされる.