抄録
本論文では,地域間物流が産業活動に伴って発生することを明示的に考慮した物流量の定量化を行う.そのため,産業連関分析の考え方を援用して地域間の物流量を把握する手法を提案する.物流産業連関分析と呼ぶこともできるこの手法では,最終需要によって誘発する物流を対象とする誘導物流と,素材などの生産が最終需要として消費されるまでの物流を捉える派生物流の2種類の物流の把握方法を提示する.前者ではある地域における1単位の最終需要に誘発される地域間の物流量を,後者ではある地域における1単位の生産によって派生する地域間の物流量を定量化するものである.また本論文による地域間流動量の推計値と物流センサスデータによる実績値の整合性を検証し,さらに誘導物流と派生物流について,それぞれ計算事例を示して手法の有用性を確認する.