2011 年 67 巻 1 号 p. 98-106
本論文は,凍上災害記録や凍上対策工法の変遷などを取りまとめ,国内の寒冷地域(401地点)で求めた凍結指数からn年確率凍結指数の決定法について考察したものである.北海道,東北,東北以南にエリアを分け,過去50年分の寒冬(平均気温が平年値以下の厳冬年)の記録を調べた結果,寒冬の規模は南北の位置関係で規則性があることが分かった.また,エリアごとに寒冬の確率年数を求めると明らかな地域特性がみられ,北海道では軽度な寒冬になる機会は少ないものの,一旦寒冬になるとその規模が極めて大きいことが明らかとなった.このような地域特性から,北海道では20年確率,東北では15年確率,東北以南では10年確率を目安にn年確率凍結指数を求めるのが有効であることが分かった.