日本臨床免疫学会会誌
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橋本病を合併した悪性貧血の1例
足立 靖一柳 伸吾中田 雅之杉山 敏郎近藤 吉宏菅 充生今井 浩三上條 桂一矢花 剛谷内 昭
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1990 年 13 巻 2 号 p. 176-183

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抄録

悪性貧血と橋本病は共に,臓器特異性を有する自己免疫疾患の代表的な存在とされ,しばしば他の自己免疫疾患を合併することが知られている.ここに,両疾患を合併した54歳の女性を報告する.入院時に舌炎・白髪・知覚異常を認め,骨髄穿刺により有核細胞数28万,巨赤芽球15.2%を認め,ビタミンB12吸収障害,抗内因子抗体および抗壁細胞抗体陽性のA型胃炎を認め,悪性貧血と診断した.さらにMeuthyroid struma(3度・弾性硬)を認め,抗microsome抗体陽性であり,画像診断も含めて橋本病と診断した.両疾患の合併は欧米ではまれではないが,筆者らの集計では本邦報告例は26例と少ない.合併例は女性に多発し,好発年齢は30歳代と50~60歳代であり, 12例は橋本病が先行し, 9例は同時期に見いだされた.本症の病因および合併の機序について,免疫学的知見を含め,文献的考察を加えた.

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