心電図
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12誘導陰性T波からみた‘たこつぼ型心筋症’の心電図の特徴
泉 礼司末綱 竜士山本 誠一吉田 清
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2006 年 26 巻 6 号 p. 832-840

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抄録

たこつぼ型心筋症 (ACM) は―見しただけでは急性冠症候群をはじめとした冠動脈疾患 (CAD) に類似する所見が多く, 臨床症状や心電図, 心エコー図などに基づく鑑別が一般に困難である.本研究では広範な前胸部誘導 (V2~V6) で陰性T波を呈する例において, 1枚の心電図から両者を判別する心電図指標を見出すことを目的とし, さらにそれらの指標の精度を確認するために前向き調査を行った, 対象は前期 (1999~2001年) に後向き調査CAD群24例, ACM群14例.後期 (2002~2004年) に前向き調査CAD群24例, ACM群17例.ACM群では, aVRのT波が陽性であることに加え, IかつII誘導で陰性T波を呈する例が有意に高率であった (ACM群14/17例: CAD群0/24例, p<0.001) , またその確率は, 陽性尤度比; 無限, 陰性尤度比; 0.176であった.以上より, 陰性T波からみたACMとCADとの鑑別点は, aVRのT波が陽1生であり, 加えてIかつII誘導で陰性T波を認める例はACMの可能性が高いことが判明した.

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© 一般社団法人日本不整脈心電学会
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