老年歯科医学
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要介護者の食事観察評価とVF検査による摂食・嚥下機能評価との関連
田村 文誉菊谷 武須田 牧夫福井 智子小柳津 馨高橋 賢晃米山 武義梶本 弘田中 法子柳下 加代子
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2008 年 23 巻 1 号 p. 50-55

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抄録

目的: 本研究は, 要介護者の摂食・嚥下機能を評価し, 食事時の観察評価の重要性を明らかにすることを目的として行った。
方法: 対象は, 脳血管疾患後遺症による摂食・嚥下障害のある要介護者8名 (平均年齢78.4±12.8歳) である。昼食時の食事場面を観察し, 同時にデジタルビデオに撮影した記録から「食事のペーシング」「むせ」「溜め込み」「食べこぼし」を, 頸部聴診にて「嚥下後の咽頭残留音」の評価を行った。VF検査において録画された影像をパーソナルコンピュータに取り込み, 「捕食から嚥下反射惹起時の喉頭最大挙上位までの時間」を計測し, 「嚥下反射前の咽頭流入」「嚥下反射後の咽頭 (喉頭蓋谷・梨状窩) 残留」「嚥下反射後の食道入口部の残留」「誤嚥」「むせ」について評価した。これらの結果から, 実際の食事とVF検査の結果との関連性について検討した。
結果: 1) 「食事のペーシング」の時間が, VF検査時における「捕食から嚥下反射惹起時の舌骨・喉頭最大挙上位までの時間」より短い者は3名, 1名はほぼ同時間であった。2) VF検査での食道入口部の残留所見と, 食事中の頸部聴診による嚥下後咽頭残留音については, 両者の一致がみられた。3) VF検査では全員むせがみられなかったが, 6名において食事中のむせは, 頻繁またはときどき観察されていた。
結論: 摂食・嚥下機能の評価においては, VF検査に頼るだけでなく, 食事場面の観察評価が重要であると考えられた。

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© 一般社団法人 日本老年歯科医学会
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