抄録
現在の日本のアニメーション制作はディジタル化が進み、アニメーターの手で描かれたアニメ原画に対して、コンピュータを用いてさまざまな加工が施されている。セルはフレーム数が多いため、1枚ごとに手作業を加える特殊効果工程には限界があり、最近では撮影工程におけるエフェクト付加によって品質向上を図るようになってきている。しかしながらソフトウェアの機能への依存から、作業の煩雑化・表現力の制限を強いられている。
本稿では、ディジタルのセル原画の特性に着目した画像処理を施し、エフェクト付加の効率化・表現力向上を図る手法について述べる。主としてグラデーション表現や、グラデーションを用いた擬似的な陰影表現を追加することで、ディジタル工程のセルアニメの効率的な品質向上を目指す。Adobe After Effectsのプラグインとして実装し、作品の利用実績についても紹介する。