主催: 水文・水資源学会
不安定条件下における大気〓植生間の物質交換において,数時間に渡る大規模スケールの変動に起因する熱・水蒸気輸送が及ぼす影響の有無,その領域での物理機構を理解するため,つくば市郊外の水稲単作田において顕熱と水蒸気の地表面フラックス観測を行った.地表面フラックスを2時間に渡って平均化するとメソスケール変動の影響を取り込むことが可能となり,メソスケールにおいても顕熱・水蒸気の鉛直輸送が確認された.メソスケールでのボーエン比は乱流スケールに比べて顕著に大きく,水田地帯よりも広域なスケールの地表面状態に起因する特性を示した.また,メソスケールでの顕熱・水蒸気フラックスは風向に強く依存した特性を示し,変動は風向によって明瞭に異なる傾向を示した.このため,観測されたメソスケール変動は実現象であると思われ,そこでの物質輸送が大気〓植生間の物質交換過程に影響を及ぼしているものと考えられる.