抄録
埼玉県さいたま市桜区宿地区でボーリングコアGS-SSS-1を掘削し,堆積相·物性·元素分析結果に基づいて沖積層の堆積環境変遷を明らかにした.また既存ボーリングデータを用いて堆積相の分布を推定した.
GS-SSS-1で観察された堆積物は7つのユニットに分けられる.ユニット1(更新統下総層群),ユニット2(礫質河川堆積物),ユニット3(砂質河川堆積物),ユニット4(塩性湿地堆積物),ユニット5(内湾∼デルタフロント堆積物),ユニット6(塩性湿地∼∼後背湿地堆積物)である.ユニット2より上位は沖積層に相当し,一回の海進(ユニット2-ユニット5中部)および海退(ユニット5上部-ユニット6)を示唆する.
既存ボーリングデータに基づく断面図からは,下位より礫質および砂質河川堆積物から塩性湿地堆積物までは埋没谷の中軸部に,内湾堆積物から最上位の後背湿地堆積物までは埋没谷全域に分布することがわかった.