抄録
本研究では,2液滴衝突によるガス吸収促進効果に関して数値解析により検討した.被吸収ガス成分を含む静止気体中において2液滴が正面衝突する場合について,Lagrangian有限要素法により解析した.Weber数の増加とともにガス吸収速度は増加し,静止液滴の場合と比較すると最大で約4倍向上した.さらに,液滴内部の流れ場および濃度場の解析結果から,液滴衝突によるガス吸収促進機構について考察した.衝突直後の初期段階において,液滴内部に存在する低濃度の液体が液滴表面へと供給され,濃度境界層の厚みが薄くなるため,ガス吸収速度は向上する.一方,液滴変形の後半の段階では,濃度場がすでに発達しているためガス吸収は十分に促進されないことが示された.